オーディオについて・・・

音楽は聞くことも、演奏することも好きであったが、オーディオにはまることになるとはとても想像がつかなった。どちらかというと、「おまえら、音を聞かずに音楽を聞けや!」と頑固親父のようなことを考えていた。

しかし、この趣味もなかなか楽しいことがわかった。ライブスチームはお金がかかる趣味だが、オーディオは工夫次第で安く楽しむことができる。

最近取り組んだ作品を紹介します。↓


FE107用マトリックススピーカー

FE103Eブックシェルフ型バスレフスピーカー
FE83E用バックロードスピーカー
FE88ES専用バックロードスピーカー製作記  

1. スピーカー

雑誌をにぎわしている高級スピーカーというとすぐに3WAYの大型スピーカーバスレフをイメージしてしまうことが多いが、「オーディオの真髄はバックロードスピーカー」という考えを知って挑戦してみた。

バックロードスピーカーとは、小型で口径の小さいスピーカーを使用してこのクラスの得意な高域と中域をスピーカーから出し、低音はスピーカーボックスの気道を迷路のように通すことで低音を生み出すスピーカーのことである。この長く曲がりくねったホーンをバックロードホーンという。


バックロードホーンについては先日お亡くなりになった長岡鉄夫氏があまりに有名で、数々の名機を設計している。この長岡氏の依頼によりFOSTEXが限定発売したスピーカーがここに紹介するFOSTEX・FE88ESである。FE88ESは箱の中に、推奨するスピーカーホーンの設計図が入っており、私もそれに従い製作した。このFE88の磁石はとても強力で、ちょっとやばいんじゃないかというくらい磁力が強い。それゆえに大型で長いホーンを通しても音痩せすることなく低音を稼ぎ出すらしい。

右の塗装していないスピーカーはFE83を使用したオリジナルです。


製作にあたっては、可能な限り正確且つ均一に木材を切り出す必要があるため、近所の日曜大工屋でパネルカッターを使い切り出してみた。使用した木材は厚さ15ミリのラワン合板。接着には速乾性の木工用ボンドを使用する。
初めて製作したスピーカーということもあり、多少手順がまずかったところはあったが、まずまずの完成度となった。塗装は水性塗料を使い重ね塗りしたが、製作中に塗ってしまったほうがよかったところが多数あった。塗ってはペーパー、塗ってはペーパーを繰り返し現在のようになる。音については、最初にそのはっきりとした音の輪郭に驚いた。とても口径8センチの小型スピーカーとは思えない。さすがに絶賛されていることはある。
その一方、バックロード特有のコンコンとした低音はちょっと耳障りであった。しかし、スピーカーはエイジングらにより音が変わるということなので、今後が楽しみなスピーカーとなった。


2. ケーブル交換

ケーブルといってもピンとこない方が多いと思われるが、ここは非常に重要である。ロスとノイズを生み出す原因であり、短ければ短いほどよい。ということでもっとも安く効果的にオーディオを楽しむことができる部分である。

現在研究中なので、具体的なメーカーは上げないが、オーディオ屋で1メートル1,000円以上するものならば、問題がないのではないかと思う。素人でも変更するとその音の違いに驚くはず!


3. アンプ

アンプまで作ることになるとは思っていなかったが、あるきっかけで興味を持ちチャレンジしてみた。以前からエレキギターを好んで弾いていたが、あるときはじめてTUBE(真空管)のギターアンプをひくことがあった。その強烈な音量と、質の良さに、今までのトランジスターを使ったものはすべて嘘のような気がしてしまった。ギターアンプでこれほど違うものならば、当然オーディオアンプも歴然とした違いが出るはずと考えチューブアンプのキットを購入した。

キットは株式会社イーケイジャパンの(エレキットとよばれる)TU-870ステレオパワーアンプである。値段は19,800円。基盤をはじめ、ケース、真空管、抵抗、コンデンサー等、必要な部品はすべてそろっている。このような箱に入って販売されている。(奥はTUBEのCDプレイヤー)

早速開梱して製作をはじめたが、意外にも部品点数は少なくシンプルな構造になっている。オプション部品も別で用意されており、オプションをつけるとS/N比が向上し音質がよくなるという。組み立て前に部品を買いに行ったがすでに売り切れということで、今回はオプションなしで製作することにした。

はんだごては、このような精密基盤を製作するには先の細い15ワットくらいのものが望ましいが、自分は持っていなかったので、60ワットのものを先を研いで、なおかつ水で冷やしながら使用した。基盤に部品を取り付け終わった段階が以下のようになる

左の基盤がメインで左の軸にボリュームつまみがつく。基盤右下の開いているスペースにオプションの電解コンデンサーがつくようになっている。部品は奥に見える黒い電解コンデンサーと同じものである。(最初から2個入れて欲しかった・・・)

写真では見えないが、この基盤の裏側に真空管のソケットがついている。左側の基盤に見える丸い線がそのしるしである。
右側の基盤はインプットの端子だが、できればここも金メッキの高級品にしてほしかった。

ここまでの作業は休憩なしでおよそ3時間。比較的簡単な作業で終了。

次にこの基盤をケースに収め、電源その他の配線を行う。インプットは2系統用意されているが、このスイッチの配線がやや大変。端子が細かい上に、コードは太目のものが多いので絶縁に注意してはんだ付けする。トランスなどのコードも基盤をビスで締め付ける前にきちんとしかるべきところに設置しておく必要がある。ここまでの作業で、ケースは以下のようになる。

写真で見ると配線がごちゃごちゃになっているが、実際そのとおりで、ケースの裏から表へ回してはんだ付けするラインが多いため、ちょっと見苦しくなっている。ここも絶縁に注意してビニールテープ等で保護をしておく。右下の赤のラインが例のインプット切り替えスイッチの部分である。ここまでの作業でおよそ6時間。単純な作業にしては難しい部分。

恐る恐るひっくり返しケースに必要なピスをとめて、いよいよ真空管をソケットに取り付ける。かなり硬く力が必要で思わず基盤が割れてしまうのではないかと思ったが、カクンという手ごたえで挿入することができた。コンセントをつなぎ、もう一度各部を点検したあとヒューズいれて電源を入れる。。手持ちのCDプレイヤーをつなぎ音を出してみる。一発で成功!!

写真ではわかりにくいが、真空管は電源が入るとぼんやりとオレンジ色に光りだす。この光がまたとてもいい。音の違いは歴然で、トランジスタのアンプに比べて20分の一の出力にもかかわらず音量も十分で、一枚皮がはがれたようにダイレクトなサウンドが楽しめる。特に低音は、バックロードとの相性もよいようで、輪郭がはっきりとしている。

ぜひ、機会があれば挑戦してください。安い値段で、高級オーディオに負けないサウンドが楽しめます。

注).右側のCDプレイヤーは次に紹介しているエレキットの真空管CDプレイヤーです。


4. CDプレイヤー

上記のアンプのキットを製作した後、同じエレキットのCDプレイヤーも製作した。部品点数はアンプよりも多いが、配線が非常に楽な上、メディア読み取り部はアッセンブリーとなっているのでこちらのほうが簡単な印象を受けた。真空管で増幅されるCDプレイヤーなど、どんな音がするのか想像がつかなかったため挑戦してみた。
とはいっても、部品の中にはトランジスターが含まれているので、完全フルチューブというわけではない。サウンドについては、明確な違いが私にはわからなかったが、チューブ独特な音の丸さは確かに感じられた。制作上の注意点はトランジスタは熱に弱いので、はんだ付けの際には、ラジオペンチなどで、足をつかみ、熱を逃がしてやることが大切である。

興味のある方は挑戦してください。値段は28,800円で、しかも限定品です。決断はお早めに・・・


5. ここまでの予算

上記で紹介した、FOSTEXのFE88ESが、2個で17,600円。ラワン合板定尺が6,000円前後。塗料が1,000円ちょっとということで、スピーカー制作費は計24,600円。メーカー製のスピーカーはとても買えない予算で、高級スピーカーができてしまう。

エレキットのチューブアンプが19,800円、大体値引きしているので18,000円以下で購入できる。ここまでの累計で42,600円。メーカー製のアンプはとても購入できない。

自分でオーディオを製作するようになってから、メーカー製のオーディオにはまったく興味がなくなってしまった。一説によると、メーカーもバックロードホーンのすばらしさは認めているらしいのだが、たとえば今回のような「8センチフルレンジ一発のスピーカーを値段20万円」では、きっと消費者が納得しないという考えで発売していないようだ。同じ20万でも、3ウェイならば売りやすいということなのであろう。