2014年4月 給水配管@
ようやく給水配管までたどり着いたが、設計はかなり難儀だった。配管図面はほとんどない上、台枠内にあまりスペースがない。隙間をさがして図面を引いたが、実際に設置してみなければわからないことはたくさんあるだろう。

最初に軸動ポンプの継ぎ手を製作した。

台枠を組み立てる段階で軸動ポンプユニットを可能な限り簡単に降ろすことができるようにするため、中控えを分割したが最終的に問題となるのは配管の継ぎ手である。

OSの純正軸動ポンプは配管継手ねじををレール面に対して水平に回転させるようになっている。台枠下側の継ぎ手ねじはボックスレンチで簡単に緩めることができるが、問題は上側の継手ねじであり、T5 のようなタンク機関車で且つ板台枠であればボイラーをおろさざるを得なくなる。
この経験から継手ねじはレール面に対して垂直に設置することにした。台枠の幅によりモンキーレンチのふり幅が決まってくるが、回せないということはなくなる。また継ぎ手はすべて台枠下に持ってくることにより分解を容易にする。

給水配管は全部の図面を作り上げていないが、ネタもないので実況することにした。


セントラル製の軸動ポンプである。OSと同様、ユニオンはレールに対して水平にねじを回転させるようになっている。これを回す必要がないように加工する。本来は中控えと一体になっているが分割している。(2003年7月)

ポンプは下側から水を吸い、上から水を送り出してボイラーに注水する。また給水しないときにはテンダーへ水を戻さなければならない。上側の配管を下で切り離せるようにしておけば良いはずである。


ブレーキ梃子やら台枠控えやら軸動ポンプのエキセントリックやら灰箱やら、外火室まで配管を引くのはかなり難しかった。うまくいくかどうかは最後にわかるが、二連軸動ポンプの給水側(下)と排出側(上)の継ぎ手をひとつにまとめた。

上の図面は軸動ポンプの取り付け位置付近を台枠ごと横断した図面である。最終的に後台枠まで配管を引くため、端梁も掲載してある。ただし、前面側であまり意味がないが・・・

11×11の真鍮角材にパイプユニオンと短いパイプをロウ付けして仕上げ、排出側の配管を下まで引き出す。上下の角材位置がそれぞれオフセットしているのは配管を左右に振り分けるためである。

←給水側のロウ付け作業写真。パイプユニオンがロウ付け中に下降してユニオンと一体に固定されてしまう事故を防ぐために、ユニオン(受け側)を仮ねじ固定している。
上側のロウ付け ポンプ取付板にすべて組込
←タンブラー側。軸動ポンプに問題が起きた場合はこの状態で機関車下から引き出す。台枠固定ねじ左右二ヶ所、パイプユニオンナットを二ヶ所緩めることでこの状態になる(はず)
工作記にするとこれだけの記事になってしまうが、設計には時間がかかっている。これまでの工作も設計(というかリバースエンジニアリング)に大半の時間を割いている。

完成したポンプを「簡単に組み込めるかどうか」の検分を行なった。

結果は「簡単ではない」が目標としていた15分で組み込みができた。事前予想していたが、ブレーキ梁ははずさなければならない。ブレーキ梁をはずすには制輪子をはずし、その後制輪子釣をはずさなければならない。

もうひとつは、レーザーカットで切出した台枠中間控の寸法が規定の寸法より1mmほど不足しており、そのためポンプの組み付けの際にはプラスチックハンマーでたたきながら台枠へはめ込む必要があった。
中間控えは初期の工作であり、レーザーカットの切断面処理でヤスリをかけすぎたためである。
ここは台枠塗装行程で修正し、軸動ポンプ取付板は現在の寸法で変更しなければスムーズに組み込むことができるはずである。

とはいえ、おおむね良好だった。


さて、今回の工作では外径6mm、内径5mmの銅パイプを使用したが、その曲げ加工は至難を極めた。わずか90mmほどのパイプ曲げに約1mのパイプを無駄に費やした。

パイプの曲げは簡単ではないので10年ほど前に英国から輸入したパイプベンダーを使ったがそれでもうまくいかなかった。しかし、肉厚のあるパイプの場合にはうまくいくので、おそらく無理なRで曲げようとしていたということだろう。

あまりにうまくいかないので、使い方が間違っているのかもしれないと思い、説明書を日本語に丁寧に翻訳して解析したが、やり方は間違っていなかった。それに、5mm以下のパイプでは完璧に処理できるのである。

↑写真手前からパイプを通し、プーリーの溝に通し、ハンドルを起こしていく。。

←外径6mm、肉厚0.5mmのパイプを曲げるために自作したR14のジグ。

写真はそのパイプベンダーである。バイスにはさんで使用するが、写真の状態はちょうどパイプを直角に曲げた状態の位置である。パイプはセットしていないが、写真撮影のために写しやすい位置にしている。

次にチャレンジするときにはパイプに砂をつめてみようと思っている。内径5mmあれば砂も詰めやすいというものである。

まあ、この工具の説明書を翻訳するのは結構大変だった。辞書があてにならないのである。SSTの説明書の単語なんかわかるわけがない。「丁寧に翻訳」としたが正しくは「丁寧に思い込んだ」というべきだろう。翻訳作業は工作ではないが、工作に取り掛かるためにはやらなければならないことなのである。

失敗した配管。実は写真に写っているのは一部である。