臨時増刊 スノープラウ
給水配管はまだまだ時間がかかるので、別の案件を報告する。単なる飾りだが非常に工作し甲斐のあるスノープラウである。

ライブスチームの機関車ではOSのC21が標準装備しているが、それ以外ほとんどつけている機を見かけない。理由は簡単で、脱線するとすぐ破損するからである。C21はステーが非常に頑丈にできている。その代わりに取付けステーはかなり大げさである。

私はこの面倒きわまりないスノープラウを自作で製作し、破損したらすぐに次のものに取り替えることを前提に作ってみた。運転するときには簡単にはずせるようにしておく。どうせ飾りにしかならないが!


スノープラウは複雑な曲げ加工が要求される。また2DのCADでは三面図の製作が大変である。デフレクターの工作時にボール紙でスノープラウのモックアップを作ってみたが、これがなかなか良かったので、その展開図を多少加工して使うことにした。

問題は曲げ加工である。そもそもスノープラウは地方により後退角から形状までまったく異なっている。これは重い雪、軽い雪、降雪量を元に設計されており、国鉄ではある程度規格が決まっていたようである。

私は北海道のC62用の図面しか持っていなかったので、これを元にオリジナルを作ることにした。オリジナルといえば聞こえが良いが一番簡単に作れる形状にしたということである。

まず、後退角は110度、返しはRではなく折り曲げにした。R加工の場合は工作の難易度が高い。

つぎに、折り曲げ加工を簡単にするため、レーザカット発注で新しいやり方を試した。具体的にはレーザーカットで破線加工してもらうのである。これにより、切り込みの入っているところは他よりも曲げやすくなる。子供に依頼されて作ったペーパークラフトの展開図を見てひらめいた。

折り曲げ線に合わせてバイスではさみ、いきなり手で力を入れて曲げる。曲げ角度は適当な端材をゲージにして合わせる。初めての試みだったが、きれいに曲がってくれた。折り曲げの順番を考えて次々と曲げていく。110度の後退角部分のみ、在来のヤスリで刻みを入れて曲げるやり方で行なった。

ここまでの加工はあっという間である。続いて、ステーとスノープラウをつなぐ台座である。同様に破線処理しているので、折り曲げると点溶接のような仕上がりとなる。

←曲げ加工を終えたスノープラウと台座をバイスで固定してフラックス・半田で固定する。その際はきちんと台座が水平に取り付けられるように注意する。
折り曲げ加工上、どうしても先端は割れてしまうので、この部分は別途端材を切出して半田付けする。形状は現物あわせとしたが、完全にぴったりとは加工できなかった。

つづいてステーである。8620のスノープラウ付きは花輪線の写真が参考になるので、ステーもそれを参考にした。真鍮アングル1.5×10×10を切出して使う。

アングルは大体上写真のような形状になっている。曲げるところを糸鋸でカットし、曲げ加工を行った後、現物あわせで三角の真鍮板を切出して銀ロウ付けした。実機も同じような加工をしている。これを前端張に仮固定する。

前端張りはあらかじめ取り付け穴をタップ加工をしておかなければならない。

ステーパーツを端張に取り付けたまま、前端張をジグにして左右の高さをハイトゲージにより罫書きしてカットした。これで左右に傾くことはないだろう。


今回の工作で一番大変だったのはスノープラウの台座と、ステーとの結合部分である。ステーは実機もチャンネルを曲げ加工しているが、台座と取り付ける部分はチャンネルが逆転するので、この部分はロウ付けか半田付けする必要がある。同時に、左右均等に合わせる必要がる。

やや太目の1.5×20×20の真鍮アングルを使って糸鋸で切出し、上写真のように前端梁をジグにして穴を写し開けてねじ止め・銀ロウ付けした。

←完成したステイ。チャンネルを逆転させてロウ付けしている。上側が開いているように見えるが、写真の写りによる錯覚。
ロウ付けで固定したが、前端張に取り付けたままロウ付けしたので、熱が前端張までまわり、ロウが溶けるまでかなり時間がかかった。

さらに前端張に固定したままハイトゲージでセンターを罫書いてスノープラウとねじ止めした。ステーとプラウは分割できるようにしておいた。

スノープラウ本体。結構重くなってしまった。
仮止めのパーツもあるが、ひとまず完成となった。プラウ本体とステーを分離できるようにした理由は破損することを前提にしているということと、センター出し、上下位置出しの汎用性を高めるためである。やや高めの位置にしているので、下げる場合はスペーサーをはさめばよいのである。

最後に機関車に取り付けて状況を確認する。

レール面から1センチぐらいだろうか。排障機よりは高い位置となっている。プラウ本体の上下方向の幅が過剰な気がするが全体的な印象は悪くない。旋回窓が生きてくるというものである。

取り付け、取り外しは前端張の4本のM3ネジを緩めることで簡単にはずすことができる。