2013年4月 ボイラーケーシングA
工作が飛んで申し訳ないが、再びケーシングの加工を行う。前回ボイラーにケーシングをかぶせる作業を行ったが、そのまま台枠へ搭載することができなかった。

その理由は台枠の内寸に対してボイラー外火室の寸法がぎりぎりであり、左右0.5mmのケーシング厚を逃がせるだけの寸法を確保できなかったからである。

下図面は後端梁側からみた台枠とボイラーである。

 

8620の外火室は狭火室であるため灰箱方向へ向かってテーパーになっている。ケーシング厚を確保するために台枠の上縁内側の面取りを行ってみたが、ちょっと削ったぐらいでは搭載することができなかった。

当初はケーシングの裾を台枠内へ収める予定だったが、あきらめざるを得なかった。


しかし、ランボードステーの台枠側はボイラー外火室に合わせて斜めにカットされており、ケーシングの裾を台枠内へ入れなくてもケーシングが広がらないようになっていた。

そこで前回カットした外火室裾部分をさらにカットして台枠よりも上に位置するよう調整した。

ボイラーにケーシングを被せ、台枠へ仮搭載する。仮搭載にあたり、ケーシングの位置出しが簡単になるようあらかじめバンド位置、中心線をしっかりとケガキしておいた。

また、これまでよりさらに煙室とボイラーを深く締結するため、ボイラーと干渉する煙室内側を局所的に半丸ヤスリで削っておいた。
ボイラーをロウ付けする際に熱変形で真円度が崩れるためであり、煙室と干渉することでボイラーの干渉部分に傷がつく。そこから煙室側の位置を割り出してヤスリ加工する。

この加工により、これまでよりもさらに数ミリボイラー搭載位置は前寄りになり、ほぼ設計通りの位置に搭載されるようになった。

写真はボイラーにケーシングを取り付けて撮影したものである。ランボードとケーシングの隙間はほとんどゼロで理想的である。ただ、上右写真のようにケーシングの裾をカットしすぎてしまい、台枠上面とケーシングの裾の間に10mmほどの隙間ができてしまった。

ま、この場所にはエアタンクがつくので外からは見えないようになる。

ボイラーケーシングが台枠内側へ入らないメリットは他にもあり、ボイラーを搭載したままケーシングのみを外すことができる。結果的に悪くない処理となった。


ボイラーの位置がきまり、ケーシングの位置が決まったので、タイラップをケーシングバンドの代わりにしてボイラへ巻き付け、附属パーツのフィットを確認する。
右上写真は煙室部分との接合部分だが3mmほどの隙間が空いている。もう少し前にボイラーを搭載することでこの隙間は解消されるが、ケーシングバンドは幅6mmなので、実際には隙間は空かない。現物合わせで調整する設計なのだろう。
むしろ問題は左写真である

安全弁とターレットブッシュでケーシングの位置は決まってしまうが、蒸気溜中心とケーシング穴の中心がやはり3mmほどずれている。
これはボイラーが届いた 2006年8月に判明していたが、この誤差はそのまま蒸気溜カバーの位置に影響する。結果、ケーシングバンドの位置もずれてしまうことになる。

この問題の解決はケーシングバンドを二分割し、ケーシングにバンドをはんだ付けして締め付けることで解消するが、締め付けねじが締めにくくなるので実際に取り付けてみてから判断する。

 
次に、バンドの製作だがコッぺルのケーシング外注時に8620のものも頼んでおいたのでそれを使う。真鍮0.5mm板をシャーリングで6.0mmにカットしたものである。塗装の剥がれや下処理の手間を考えるとリン青銅や真鍮は食い付きが悪く使いたくなかったが、コッぺルの外注時にまとめた関係で真鍮になった。

バンドの端面には10×10×1.5の真鍮アングルをはんだ付けし、片方はM2.6タップ、もう片方は2.8mmの馬鹿穴にする。

工作は難しくないのだが、問題は取付である。全部で5本バンドで固定されるが、そのうち2本はドームの中心を通る。残りの3本はあらかじめ固定しやすいところでゆるく固定し、周方向へ回転させて締めつけることができるが、ドームの中心を通る2本は回転させて固定することができない。

蒸気溜側は動輪カバーを外せば大丈夫そうだが、砂箱側はランボードが高くなっていることもあり難易度が高い。ここは工夫が必要だ。

とりあえず位置をずらしてバンドを4本で仮固定した。


ケーシングが仮設置できたことで運転室前板に残った追加加工も可能になった。2008年3月の記事で運転台パーツを紹介しているが、運転室前板下側の三角パーツを設置した。

このパーツは狭火室の機関車独特のもので、運転室を上から引きぬけるようにするためである。セントラル鉄道純正パーツは前板を左右に分割する構造になっている。これを運転室ユニットで取り外しできるように変更したのである。

運転室ユニットを後方へ引き抜くことができればこのような加工は不要なのだが、ターレットブッシュが邪魔をして上へ引き抜かざるを得ないのである。

工作は真鍮1.6mmの板をはんだ付けして穴あけ・タップ立てするだけである。

表より撮影 裏から撮影
ケーシングの仮固定によりもうひとつ、逆転引棒の取付も可能になるが、これは次回に見送り。

ケーシングは仮固定であり、他のパーツとのフィットを確認する目的で取り付けたが、錆びがひどいので作り直すことも考えている。亜鉛メッキ鋼板をあらかじめ穴あけしておけば、部品の取り付けが非常に楽になる。ロールを外注する場合は先に大穴をあけてもそれほど問題はないので、手っ取り早くてよいかもしれない。

今月は工作を頑張ったと思う。