2013年3月 デフレクターA
デフレクターは以前ボール紙でモックアップを作り大きさを確認していた(2011年4月参照)が、問題は特になかったため、そのままレーザーカットで仕上げた。

デフ片側につき以下のパーツを発注した。t=1.0のボンデである。

  

      

 

 

デフレクター本体と、表側の縁取り、そして裏側(ボイラー側)の補強の三枚重ねとなる。

最大の難所は煙室とのステー結合部分である。デフレクターの上部は内側へ折れるので図面を引いても加工精度により煙室との接合する位置は微妙に変わってくる。また接合の方法も難しい。

まずはデフを加工してランボード上に設置し、後の手順を考える。

←裏側。下の補強がないところにL字アングルを接着する。
折り曲げ加工は毎度の通り、折れ線の裏側から三角ヤスリで削り、バイスで挟んだ後、手で曲げる。溝が浅かったせいか表側からみると折れ線が甘いように感じる。

でもまあ・・・大丈夫だろう。

同様に縁取りと裏の補強も曲げ加工をして、後は賞味期限切れの構造用二液接着剤で張り付ける。

ランボードとの接続部分はいろいろ考えた結果、ランボード垂れ板部分にはアングルを設けず、デフ後半の見えにくいところにアングルを取り付けて固定することにした。


取付アングルの寸法はあちこちの干渉と組み立て手順を考えて作らなければならなかった。

ランボードは運転台床板を含めて4分割で設計されている。デフレクターの位置はちょうどスライド弁バルブ室蓋の上になるので、当然ランボードも取り外すことができなければならない。弁調整の都度、デフを取り外さなければならない。

そのため、ランボードごとデフを外せるようにした。

また、8620は蒸気管カバーが煙室の横に鎮座しており、これも邪魔である。そもそも現設計でデフレクターはついていないので非常に取付しにくい。10×10×1.5真鍮アングルをエンドミルで干渉しないように加工した。
下の図面はランボード(弁室)を上から見たものと横から見たものである。見にくいだろうが水色の線がデフ取付アングル、紫はスライドバルブ室蓋、黄色はランボード、赤は蒸気管カバーである。

 

 

 

 

弁室蓋にはたくさんのキャップボルトが刺さっているので、この頭とアングル取付ネジ・ナットが干渉しないようにネジ位置を調整した。
デフとアングルの固定は錆びの問題もあるのではんだではなく二液性接着剤で取り付ける。まずはアングルの位置を正確にきめてランボードに穴を写しあけ、ネジで固定してからデフレクターを接着して固定する。
ランボードの素材は網目板なのでケガキや穴あけは難しい。穴が斜めにあかないよう注意する。
アングルとデフは接着してひと晩放置。翌日組み立てを行った。
このようにランボード、蒸気管カバー、デフは一体で組まれている。(上左)。ランボード側板固定用の皿ネジはデフの外からねじ込みできる位置となっている。設計通りに加工できたようだ。ちなみに、実機の8620デフ付もこのようにやや内側にデフが取り付けられている。
仮設置したデフレクター。この後、煙室とデフを固定するステーを加工することになるが、かなり、難しい工作になるだろう。実測とCAD作業で正確に煙室固定位置を割り出す。