2006年8月    ボイラーの問題点A

ポイント2および3 蒸気ドーム・安全弁台座の位置・ケーシング穴位置

6月からの引き続き問題点を公開しよう。この問題はあまり大きな問題ではなく、作り直しも安易なので気にする必要はないが、事実は事実として公開しておくことにした。それは、部品として送られてきている「ボイラーケーシング」と「ボイラー」のブッシュ位置のことである。

ボイラーケーシングは当然の事ながら、蒸気ドームや安全弁取り付け台座、ターレットその他の突起を避けるために穴があけられている。

 

上の図面は何かというと、ボイラーを上から見た図である。緑線はケーシング、黄色線は蒸気ドームカバー、水色はボイラーの突起である。それらの中心線は微妙に偏芯している。ボイラー中心付近の点は砂箱取り付け位置である。

安全弁台座を正しい位置と仮定した場合、蒸気ドームとケーシング穴の中心は1.5mmずれている。ターレット穴とケーシング穴の中心は1.0mmずれている。そして、原寸大図面から測定した蒸気ドームカバーの中心は1.0mmずれている。ターレット取り付け穴は1.0mmのずれ。

設計図面、ボイラー、ケーシングの整合性が全く採られていない。まったくひどいものである。

いずれも作り直さなくても何とかなるレベルではあるが、これほど簡単な部品に対して、これだけ整合性が取れていないということ自体問題なのである。


今回も工作というより問題点の洗い出しである。問題点が解決すれば、完成までの道のりはあと少しと思われる。
すでに、エアーテストは終わっており、ボイラーも完成してる(問題がなければだが・・・)ので工作がスタートすれば、何とかなるだろう。

前回は写真を掲載することができなかったので、写真を公開する。

 

これは梱包する箱から出したままの状態である。外火室や缶胴の上にセロテープで固定されているものは安全弁や逆支弁などの部品である。加減弁や蒸気ドームは最初から取り付けられていた。

さらに詳細写真も大公開。

内火室缶板

のど板との接合部

内火室焚き口側

蒸気ドーム

ボイラーはどのように梱包されて送られてくるのか?
とても興味があったが、ダンボール箱であった。他の頒布部品もダンボールで送付されてきたが、ボイラーは箱の底に一部ベニヤの板が挟まっており、ビニール紐で箱とボイラーとベニヤ板が友締めしてあった。とても工夫されていたが、残念ながら輸送中の破損と思われるところが幾つかあった。

一つ目は上写真の「内火室焚き口側」の写真である。ロストルがはまる枠部分が大きくへこんでいる。ここはバイスではさんで修正した。もちろん完全には治らない。

缶胴底部

高温ハンダによる補修部分

もうひとつは缶胴の前側下。ここは火室部分と水平に固定するためにのど板の縦寸法と同一の角材がダンボールとの間にはさんであり、厚紙を折り曲げたものがクッション材としてセロテープで固定されていた。
写真でも千切れた紙が張り付いているのでわかるかと思う。なんとなくへこんでいるのが確認できるだろうか。

この部分はダンボール箱を下に「ドン」と置いてしまうと、ダンボール→角材→缶胴と衝撃が伝わってしまう。緩衝材はセロテープで固定された厚紙だけである。当然へこむだろう。

上右写真は外火室後板である。銀色に混じって黒ずんだ高温ハンダが確認できると思う。外火室後板はまだ少ないほうで、煙室缶板は高温ハンダで固められている。そのためにボイラーは綺麗な銅色をしておらず、酸化した外面に保護材のような「つや」のあるものが塗ってあった。

各部の銀ロウ付けの特徴として、たとえば内火室缶板と内火室の接合部など漏れが心配な箇所にはフランジ加工のかわりに3mm厚ぐらいの帯材が一緒にロウ付けされている。写真では分かりにくいかもしれない。のど板の接合で使われている帯材のイメージでよいと思う。

内火室上部と外火室の接合はガゼットステーで締結されている。なぜこれがわかったかというと、セントラル鉄道にボイラーの進捗状況を確認したときに、製作中の写真が掲載された絵葉書が送付されてきたからである。

 

写真のうち奥の4機はB10のボイラーらしい。手前の煙官の長いものが8620。
このようにして部品の共通化を図るというのはメーカーとして経営上手といえる。
同じ型板が使える上、加工の手順も共通化できる。B10と8620では火室の前後長も異なるが、ガゼットステーを短く加工して共通化している点も見逃せない。

もうひとつ大きな特徴として、のど板、内火室缶板、内火室後板、外火室後板、特に外火室後板は真鍮か砲金で作られており、8mm近くの厚板を使用していることである。外火室後板には水面計や逆心弁が多数取り付けられるが、これらはすべてブッシュを解して取り付けられるわけではなく、十分な厚板に直接ネジ止めされる。

写真でも内火室を横からビス止めしているところが確認できると思う。加工の手間を省く良い方法だと思う。

缶板はどうなっているか判別不能だが、型板に固定して何度も焼きなました後フランジ加工をする手間を省けるのは作る側からすれば楽である。

ちなみに、この絵葉書が届いたのが12月末だった。「1月25日完成予定」は結局5月まで待たなければならなかった。