2012年10月 膨張受け・ケーシング@
ボイラーは灰箱がついたことで搭載のめどが立ったが、膨張受を取り付けなければ仮搭載のままとなってしまう。8620は板台枠であり、このキットも同様に板台枠なので膨張受けは台枠上面で前後にスライドするよう取り付ける。

しかしながら、ここまでこの工作が遅れてしまった理由は、ランボードステーと同様の問題を抱えていたからである。つまり、膨張受けは台枠とボルトナット締結となっているが、ボイラーと台枠に隙間がなく、裏からナットが留められないことにあった。M4用の4mm穴が開口してしまっているのでどうにもならない。

ランボードステーは台枠の穴をM5に拡大して対応したが、運転台床板・第三動輪との干渉の問題もあり、できる限り小さなネジを使いたかった。

そこで、M4.5という規格はあるが製品がないというネジを使わざるを得なくなった。


意外なことだが、M4.5のタップはすぐに手にはいった。問題はボルトだったが、最悪ボルトもダイスを買って自作すればよいだろうと考えていた。ただし、コストパフォーマンスは最悪だが!

いつもねじを購入している業者ではやはりM4.5は入手できなかった。ネットのネジ通販業者を複数あたったところ、ステンレスなべ・M4.5については市場で見つかった。長さは複数選べたので迷わず×10を選択した。理由は膨張受けの厚みが6.0mm、台枠が4.0mmだから。

ネジの単価は9円だったが、最低価格が決められていたので46個購入した。送料と代引き手数料が商品価格をかなり上回ったが、ダイスを購入するよりは安く手に入った。
別けてほしい方は連絡いただければ分売しますよ!(笑)

M4.5×10ステンレスなべネジ 台枠に仮固定。
まずは台枠にタップを立て、台枠に取り付けて状態を確認する。膨張受けは台枠に三点止めされるが、下のねじを取り付けるには床板を外さなくてはならない。

写真では残せなかったが、膨張受けの穴は4mmの上下方向長穴となっている。これをミーリングして4.5mmの長穴に加工してネジ止め。ビスの長さは理想的であり、ボイラー側にはほとんどつきださない。

さらにボイラーを搭載して仮固定する。

ボイラーと締結すると、膨張受けの上の角がボイラーと干渉する。御覧の通り、ボイラーの外火室の形状と膨張受けの形状が異なるからである。

フライス盤作業でヘッドに角度をつけてミーリングする。ここはやすりで削るよう設計図でも指定されていた。


ボイラーケーシングを取り付けて搭載した場合、台枠とボイラーのわずかな隙間をケーシングがうまく通るのか?次にここを確認することにした。CAD上で確認するとぎりぎり大丈夫だが、台枠上面をわずかに面取りする必要がある。

ボイラーは熱変形するものなので、実際に搭載しなければわからない。部品箱からケーシングをとりだして現物を確認する。写真は一部加工後のものである。

↑火室部分も丸まっていたがボイラーの形状に合わせて広げる。

 

←外火室と缶胴部分の境には4mmスリットが空いている。

だいぶサビが出ていたが、十分使えると判断した。2006年8月にボイラーの問題点の一つとしてケーシングとの誤差を指摘したが、ケーシングの穴自体は大きく空いているので1・2mmの誤差なら問題なく使用できる。

まずはボイラーに取付け、台枠に仮搭載して問題点を洗い出す。


ボイラー外火室後板には水面計用のブッシュがつきだしており、そのための加工を行わなければならない。ブッシュよりも大分下側に切り開いている(下左写真)がこれには理由がある。
ケーシングはボイラー上のブッシュの関係で周方向へ回転させることはできない。そのため、ケーシングをボイラーへかぶせるときには大きく広げて上方向からかぶせることになる。つまり、上方からの投影位置で切りだす必要があるのだ。

右上の写真は上から撮影したものだが、ぴったりである。

実は、この糸のこ作業はかなり難しい作業であった。ケーシング自体が0.5mmの薄鉄板である上、長ものであり、さらには円筒加工してあるので固定・切りだしとも簡単ではない。ボイラー後板側へ切りだす場合には鋸刃を逆に取り付けたり、懐の深い糸のこを90°加工して鋸刃を取り付ける等の工夫が必要になる。固定も左手一本で支える程度なので鋸刃を何本も折った。今回の工作の大半の時間はここで割いている。

薄板をロール加工する場合、穴は先に切りだすことは御法度だが、加工を外注する場合には先に穴やスリットを加工しても完璧にロールしてくれるため、自作するには外注のほうがよいだろう。

さらに、膨張受け部分も切りださなくてはならない。膨張受けが干渉する部分も実測してカットする。ここのカットは難しくはない。

これでボイラーをケーシングごと仮搭載する準備ができたが・・・・仮搭載・・・・・というほど簡単にはいかなかったのでまた次回にする。