2008年10月 ボイラーテスト
セントラル鉄道は小型蒸気機関車製造協会の会員なのでボイラーには圧力テストの結果表が添付されている。
品物が送られてきたときには添付されていなかったが後で別送された。とてもカッコいい書式である。

テストする必要はないが、ボイラーテストを行い、自分の目で確認した上で使用したほうがより安心である。準備にずいぶん時間がかかったがテストを終えたので報告する。本来、メーカーが中心となって取り決めを行なった規格ならボイラーテスト用のプラグも合わせて製品とするのが常識だと思うが、どのメーカーもプラグを添付していない。非常におかしな話だ。
ボイラーテストを行なうには、まずブッシュの製作をしなければならない。ありがたいことにセントラル鉄道のボイラーは1mmの細目を統一して使っている。サイズも数種類なので比較的楽である。
ブッシュ位置 サイズ 個数
安全弁台座 M10×1
水面計 M10×1
逆支弁(ブローダウン含む) M10×1
ターレット台座 M12×1
加減弁煙室 M16×1
加減弁外火室
圧力計その他 M7×1

14mm真鍮六角棒を切削してこれらを製作した。日ごろから中古工作機械屋を回って中古のダイスを集めていたことは良かったが、長い工作ブランクのため、既に数年前に購入していたM12×1のタップとダイスを余計に買ってしまったことが悲しい。
今後の余計な出費を防ぐためタップダイスの在庫表を作成し工作室に貼り付けた。

M10のプラグのうち、3個はさらにPT1/8タップを立てて圧力計・ブローダウン・吸入口用のコネクターをねじ込んだ。

今回のテストは正式なものではなく使用に耐えるかどうかを目的としているので、やり方は独自の方法にした。水は満水にせず、通常の缶水量まで入れて、残りをエアで充填する。漏れない水用逆支弁を作る手間を省くためである。これで内火室や管板の漏れをチェックすることができる。

なぜ正式な水圧テストにしないかって?メーカーのボイラーだからですよ!


全てのブッシュを製作してねじ込んでみたが、やはりの問題が発生した。
煙室管板側のM7ブッシュに雌ネジが切ってなかったからである。どうやって水圧テストをしたのでしょう!

!ネジきりなし

ネジ切り後

ただ、炎の影響を受けやすい煙室管板や外火室のブッシュは小さいネジ穴を空けてテストし、最後に穴を拡大して正規のネジをたてる方法も聞くので、「単なるタップの立て忘れだろう・・・」と前向きに信じてM7タップを立てた。

加減弁はそのままプラグとして使用

管板側

圧力テストのセットアップ

上左写真の大きな目くらプラグはすべてM10である。小さなプラグはM7。右下の黒いものはレギュレータ付汎用ブローダウンバルブである。
テスト後に缶水を抜くためにセットした。上に見える黒いものは圧力計である。

加減弁は内部を取り付けずに、単純な蓋として使用した。蒸気ドーム・加減弁にはバスコークをたっぷり塗って取付。
他のプラグも適度にバスコークを塗って取り付けた。

低圧のエアをボイラーに込めてみたが漏れるもれる。ブッシュからあちこち漏れている。
石鹸水を作り、ブッシュに塗りつけるとぶくぶく泡が発生するのですぐわかる。何度かやり直したが、外火室後板側M7ブッシュの漏れが止まらない。度重なる加熱のためと思われるがネジ穴が傾いてしまっている。

Oリングの在庫を調べるとちょうど良いものがあったのでそれを取り付けて、さらにバスコークを塗りつけて締めこんだ。

あちこちのプラグからの漏れが止まらないが、幸いボイラーは大丈夫そうである。さらに漏れ止めを行い加圧した。
ボイラーを庭へ持ち出し、最終的に缶水を入れてチェックした。

エアコンプレッサーの圧力上限6kgをちょっと下回るところまでエア込めして弁を締め切る。そのまま放置。

 

加圧中

1時間近く放置したが圧力は下がらなかった。途中、ボイラーを横にして火室内もチェックしたが問題はない。写真は圧力計だが、0.55Mpaを少し超えるところに針を止めておき、下がったらすぐにわかるようにしておいた。セントラル鉄道の検査結果は常用圧力0.45Mpaの1.5倍、0.7Mpaでテストしているということだったのでこれで充分である。

よかった・・・

圧力テストはT-5復活でも行なったが、OSのボイラーだったのでとても楽だった。しかも配管のセットアップを終えていたため、ブッシュから漏れるということもなかった。注水ブッシュから一度漏れて、バスコークを塗りなおして解決した。

しかし、5インチ国鉄型のボイラーは重い・大きい。私は完成したものをテストするだけだったが、それでもブッシュの製作や準備が面倒だった。これを一から自作して水圧テストを繰り返すなど私には到底できそうもない。やる気もしない。

まして、この機関車は縮尺9.3分の1でファインスケールではない。1/8.4国鉄蒸気のボイラーは一体どのぐらいの重さになるのだろう。それを700度近くまで加熱してロウ付けしたり、こまめにひっくり返して水漏れがないかどうかをチェックするなど信じられないことである。