臨時増刊 「旋盤導入」

やっとというか、ついに旋盤を導入した。じつはずいぶん前に購入はしていたのだが、設置場所や運搬の問題があり、半年近く購入したメーカーに預かってもらっていた。

購入した旋盤は寿貿易のUSL-5Gという機種で、すでにカタログから姿を消している旧モデルである。ネットのみの格安販売でGETしたが、実は当時申し込みしたときには在庫がなく、運良くキャンセルにより私のところへ回ってきたものだった。

USL-5G

寿貿易 USL−5G

ベッド上の振り 230mm
センター間距離 500mm
主軸貫通穴 20mm
主軸テーパー MT3
主軸速度(ベルト駆動) 6速 100〜2000rpm
心押台スリーブテーパー MT2
ネジきり ミリ0.5〜3.0・インチ8〜56
長手自動送り 0.127及び0.177/REV
電動機 単相100V 0.55kw
所要床面積 950×500mm
本体重量 98キロ

価格は本体25万プラス付属品その他で30万だった。寿貿易は、海外のメーカーが現地生産したものを輸入して、分解加工を加え精度を調整したものを販売している。マイフォードに比べるとオプションの種類やモデルエンジニアリングに必要な機能が少ないが、価格の点で私にはこれが限界であり、やむをえないということもあった。

機種の選定については、他のメーカーの機種もかなり検討した。最終的な条件は、重量とベッド上の振り、価格の3点だった。

連載で記述したように、賃貸マンションでは、持ち込める機械が限られている。重量もMAXで100キロ、できれば70キロぐらいのものを探した。振りは国鉄蒸機の上限208ミリを切削できることが最低条件であった。中古の工作機械もずいぶん探したが、残念ながらこの手の卓上旋盤は市場に流れることがマレで、仮に見つかったとしてもマンションに持ち込むことができるかどうかは難しいことだった。

実際、据付が最大の問題で、この手の工作機械は大抵車上渡が原則で、洗濯機や冷蔵庫のように丁寧に据え付けまで対応しているところはないのである。100キロ近い工作機械は設置後も簡単に動かすことはできないので、さらに工作台まで導入しなければならなくなった。

配達日の朝は、運送会社から連絡があり、「何がはいっているかわからなのですが、とてつもなく重たいものが届いております。どうしましょう?とても一人では配達できません」といわれ、最終的には私が運送会社の営業所まで出向き、そこで開梱して周辺工具、部品、センターなどを外し、可能な限り重量を減らして、運送会社の社員と私の3人でマンションの2階まで運び上げた。おまけに設置まで手伝っていただいた。チップを渡したことはいうまでもない。

ライブスチームはどちらかというと旋盤加工よりフライス加工が多いと聞く。私の生活環境ではもはやフライス盤を導入するスペースがないので、一応、寿貿易に改造を依頼し、ミーリングアタッチメントが取り付けできるようステーを追加した。これだけで加工+部品代が5万もしたが、いくらお金があってもスペースの問題だけはどうにもならないので、ミーリングアタッチメントで軽加工のみ行い、あとは外注で何とかしようと思う。

据え付けられ、強烈な「鉄と油」のにおいを撒き散らす旋盤を眺めながら、ついにここまできてしまったか・・・とため息をついてしまったのであった。