2011年8月 乗用台車増産・インドアライブスチームショウ

今年は仕事が少ないこともあり、工作が非常に順調に進んでいる。

にもかかわらず、記事のアップをしていないのはなぜか?それは更新内容が重複してしまうからである。

今回は報告のみで更新としたい。この数カ月、昨年新製した乗用客車をもう一台製作したのである。当初から2両製作する予定だったが運転会のスケジュールに合わせると一台にせざるを得なかった。

設計・製作に至るまで昨年のものと同一である。唯一変更した点は自動連結器台座が理想的な位置に設置できるようにするため、座箱の底板を一部変更している。それ以外は同一である。

昨年製作した1号車は自動連結器を取り付ける場合、カプラーポケット下側のねじが丁度底板の端面の位置になってしまい、裏からナット止めすることができなかった。長い木ねじを使えば取り付けは可能だったが、強度が必要なところである為、昨年製作した一号車はバーカプラー専用にして、今回製作した2号車は自連用にした。

同じ内容の製作記事を掲載しても面白くないため、このようなアップになった。猛烈に工作しているにもかかわらずさびしいものだ。


7月最終週にはインドアライブスチームショウというイベントが地元で開催されたので見学に行ってきた。ありがたいことに山口県のH氏と北九州のW氏と同伴である。ライブ仲間と見学することにより楽しみは2倍・3倍になる。

イベント自体は来客が少なく、内輪的なイベントになってしまっていたが展示車両には目を見張るものが多かった。

まずはアスターの「伊予鉄クラウス」である。ずいぶん前の独り言で書いたが私はこの実物を2002年に見ている。そのイメージを上手に再現しており、Oゲージ並みのディテールと質感があり、とてもライブスチームには見えない仕上がりだった。

全体から受ける印象がとても良く、むき出しのスチーブンソン式バルブギアもとても美しくできていた。ほしいと思わせる一品である。

そして衝撃はこの機関車である。5インチ国鉄C51。

ほぼ完成形のC51である。私が最終目標としている機関車がそこにあった。
実は私も10年近く前に動輪舎のC51動輪鋳物・先従輪鋳物を購入している。シリンダー鋳物も入手しており大切に保管している。それもこれも、この機関車を作るためである。

どこから見ても素晴らしい出来栄えであり非の打ちどころがない。しかもボイラーまで自作されたという。梅小路の屋外展示で見たC51239のイメージと全く同じだ。他形式と異なる従台車周りの出来栄えは特にすばらしい。

結局イベント終了までこの機関車しか見ていなかった。そして、この機関車の存在は改めてライブスチームへ趣味の時間を集約しなくてはならないと感じさせるには十分であった。ライブ以外の趣味は休止し、ライブスチームこそわが趣味の本流であると再認識させてくれたのであった。

最近はどこのイベントへ行っても自作の機関車が少なく、「新たな衝撃」を受けることが少なかったが、これは目が覚める一品だった。

もうひとつ、5インチD51?の下回りである。隣にはボイラー素材が置いてある。難しい工作を上手にまとめてある。

私も5インチD51は設計に取り組んだことがあるが、7.5Rを目標とすると、従台車のふり幅・灰箱がかなり苦しくなる。D型なので固定軸距離が長い上、D51は後台枠が従台車の外側に位置するため横道にかなり制限がでる。

逆転機軸の加工も難易度が高い。写真では見えにくいが曲げ加工する内側をエンドミルでところどころ彫が入れてある。

これらのパーツは完成してしまうとなかなか見ることができない。とても良い勉強になった。また、インドアという名称のとおり、室内でライブスチームを運転するイベントであったが、無煙炭を義務付けられていたと聞いた。無煙炭でも多少は煙るだろう・・・と考えていたが実際には全く煙は出ておらず、会場はとても快適だった。イベント自体はとても良いものだった。


8月一週目に白馬のエポックへ家族で一泊旅行に出かけ、昨年の小矢部以来の運転を行った。しかしいきなりトラブルである。昇圧したものの動輪が全く回転しない。

すぐに軸動ポンプ系のトラブルと予想できたが、あまりに固着がひどいので運転をあきらめ、エポックの機関庫をお借りして修理することにした。前端梁にチェーンブロックをかけて機関車を縦に起こして軸動ポンプを分解したが、ポンプ本体とピストンが完全に焼きつきを起こしており、分離させるのは至難だった。

ステンレスと砲金がこれほど固着してしまうものか・・・とずいぶん悩んだが、その固着の原因となった元は動輪車軸とエキセントリック固定ボルトの緩みという非常にマイナーなトラブルだった。

エキセントリック固定ボルトは芋ねじで車軸に固定されているが、めったなことで緩むねじではない。組み付け時に既に緩んでいたと考えられた。
昨年の小矢部の運転時に「激しいピッチングと戦った」と記事に書いたが、すでにこの時にこの兆候が出ていたと思われる。

エキセントリックが暴れるとタンブラーが暴れ、軸動ポンプピストンとシリンダーが正確にストロークしなくなる。

一度、機関車を自分で全部分解し、組み立てる必要があると感じた。これを行うとまたしばらく8620の記事は掲載できなくなるが・・・。やらざるを得ないだろう。


軸動ポンプのトラブルを経験すると、機関車そのものにポンプを取り付ける必要性があるのか?と疑問がわく。
8620は給水関連の工作をしていないが、これは軸動ポンプをテンダーに移したらどうか・・・という希望が捨てきれないからである。すでに完成しているテンダーを再分解し、車輪と車軸を分離する工作が必要になるのでかなりの手間を要する。
機関車本体に軸動ポンプが無くても、機関車にはインジェクターをつけることでかなりの対応ができる。テンダー機関車の場合は水槽の水温がそれほど上がらないのでまず問題ない。T−5のサイドタンクは夏場50度以上になることが測定結果からわかっている。インジェクターには適さない水温だ。
しかし、タンク機関車の場合は必ず運転台車が必要になるので、運転台車に軸動ポンプをつけることで簡単に解決する。

英国の機関車では軸動ポンプをつけることはあまり主流ではないと聞く。

何年も前に作ったワム90000は製作後、運転時に連結することが皆無なため、これの下回りを利用してトム50000ヘ改造し、ついでに軸動ポンプとハンドポンプ、仮設水槽を設けて運転台車とすることした。しばらくはこの工作記をアップすることになるだろう。

機関車の工作記でなくて申し訳ないが、実際乗用台車の工作記や運転台車の工作記を公開しているページはほとんどないので、ある意味有効なのではないかと思う。