2009年11月 灰箱B
既存の台枠を使う場合の問題点は何か。

問題点1

ランボードステーの止めネジを台枠裏から固定するナットが取り付けられない

問題点2

灰箱の取り付けが終わらなければ他のすべての作業に支障が出る

問題点2は台枠と関係ないように感じるかもしれないが、実は関係があったりする。後に説明する。

どちらもボイラーの搭載に影響している。8620の工作記を開始して以来、できる限り自分の納得のいく結果を出したいと考えて緻密な工作をしてきたが、これでは何時までたっても完成しないことに気が付いた。
私の満足いく結果を得るためには台枠を更新しなければならない。しかし、そう考えて一体どれだけの時間が流れたか。

とにかく、機関車を走らせるために最低限の加工をして進める方針に変更した。これは宣言である。(笑)
ま、完成後に台枠を造ってもよいのだから!!(やらないとは思うが・・・)


考え方を変えれば工作も簡単になる。

まず、問題点1だが、既存台枠にはあらかじめ4mmのネジ穴が開いており、4mm以下のネジを使う場合は裏からナットで固定する以外方法がない。ランボードステーは前後方向の厚みがあまりないので、5mmのネジを使用して、台枠の穴を4.3mmまで拡大し、M5のタップを立てることはあまりやりたくなかった。また、台枠にタップを立てることに抵抗があったことも事実である。

しかし、方針を変えたのですぐにやった。機関車の台枠を分解して加工すると大仕事なので、仕事で使っているBOSCHのハンマードリル(規格SD−PLUS)に専用ドリルチャックを追加購入し、これをつかって一気に台枠穴を拡大した。(あたりまえですがハンマーモードではありません・・・)そして、折らないように慎重にタップを立てる。タップを垂直に立てるためのジグを旋盤で製作した。

ランボードステーも遠慮なく5mmに穴を拡大する。大きい穴になったなぁ・・・と感じたが気にしない、気にしない。

M5のボルトの長さを台枠裏にツライチになるまで旋盤で加工する。そして、ランボードステーを取り付ける。

SD−PLUS規格のドリルチャックを装填

台枠内側へ出ないよう切削する

右上写真のように台枠裏側にボルトの頭がつらいちになるように加工する。これによりボイラーとの干渉がなくなる。これでボイラー搭載の問題点が一つ解決されたことになる。

つぎに、灰箱である。

灰箱の取り付けは設計図によるとボイラーに直接穴を空けてネジ止めすることになっていた。
これがイヤだったので台枠側で固定する方法に変更しようと考えていたのである。結局、ランボードステイの問題と同じく、台枠を更新しなければこの問題も解決できない。
これも考え方を変えたので、とりあえず気にせずに設計図どおりボイラーにネジ止めすることにした。

しかし、その止め位置がよく分からない。ずいぶん前の頒布回では、灰箱の前側のみをネジ止めし、後部はL字アングルではさんで固定するようになっていたようである。その名残の穴がボイラー外火室後板に残っている。

ボイラーを傾けて火格子をはめて様子を見る。

 

火格子を仮搭載

火格子受けとの位置決め

位置を確認すると、火格子受けにネジ止めするのが良さそうである。火格子受けは厚さ3mmあり、裏からナットで止める必要はない。
ナットで固定すると火格子と干渉して好ましくないのでそうするしかない。またナットを使わなければ台枠下からドライバーを突っ込んで灰箱を下から取り外すこともできそうである。

灰箱前側にはもともと空いていた穴があるので、この穴を基準に火格子受けに対して理想的な位置に来るよう、CADで位置を割り出し、且つ端数の出ない数値に罫書きした。
ボイラーの穴はメス穴になるので万一灰箱を作り直す必要が出たときに簡単に取り付けられるようにするためである。

位置が決定したら後は穴あけだが、5インチボイラーは大きく、重いのでさかさまにするためのセットアップが面倒である。外火室には安全弁・ターレットのブッシュが大きく突き出しているのでそこを避けるように工夫しなければならない。

さかさに固定するのも大変です。

M2.6×6mmナベネジで固定

ここでも機関車運搬ケースが大活躍である。適当なベニヤ板を渡して周り止めをして完了。

ボイラーに罫書をして最初に一つだけネジ穴・タップたてを行い、あとは写し明ける。ここでも前述のドリルが大活躍。この作業はとても大変だったが、写真と文書ではこの程度しか説明できない。


さて、長年の懸案事項だった灰箱が付いたことで、ボイラーを台枠に載せてみたが・・・・・

やっぱり載らない!

あちこちが干渉している。まず、灰箱の扉ストッパーのネジが軸箱に干渉する。これをとりあえず外して見ると、今度は灰箱蓋がブレーキ引き棒に干渉する。灰箱蓋を外すとようやく搭載できた。

検証すると、灰箱自体の取付・寸法は問題ないものの、蓋およびその開閉機能が干渉してしまう。

板バネ、車軸、制動引き棒との微妙な位置関係!

写真は灰箱の蓋とストッパーを外し、下から見たところだがブレーキ引き棒とのクリアランスがほとんどない。蓋は灰箱の外を数ミリ囲うようにフランジ加工したので、そのフランジの厚み分、干渉してしまう。また、ストッパーの軸は5mmほどの長さがあるのでここは問題外で干渉する。

幸い、車軸との干渉は避けられている。(下左写真)ここは設計変更をしてあらかじめ計算していたので良かったところである。クリアランスは2〜3mm程度か。これでは灰箱の熱で車軸が過熱され、ロックタイトがはずれてしまうだろう。断熱材を灰箱に取り付ける予定。

 

写真中央は車軸。金色の部分が隙間

開閉ストッパーのネジ、ナットが干渉する

灰箱開閉の邪魔になるブレーキ引き棒・制動機構は工作当初のものであり、作図をしていなかった。作図していないところがことごとく干渉する。

先月の運転会で開閉機能について先輩8620製作者S氏の意見を聞いたが、開閉機能をスライド方式に変更したという。なるほど、その方法なら問題なく開閉できる上、干渉するところもない。
結局、灰箱蓋を下に開閉しても開度が限られる上、リンク機構が複雑になり大変である。

さて、私はどうするべきか。次回につづく。