2006年9月    主台枠改良

ボイラーの検分により主台枠に改良が必要となったので、既存の台枠はあっさりと捨てて新設計にした。
以前から変更したい点がいくつかあり、むしろ既存の台枠をあきらめる良いきっかけになった。いずれにせよ、今後は下回りの塗装に入るので分解しなくてはならない。

主台枠はレーザーカットで発注するので、工作をする必要はなく設計=製品になる。変更点、改良点を吟味して制作する。比較の結果改良した点は以下のとおりである。図面上では紫線で示した。

改良前

改良後

変更点(台枠左側より)

@ 煙室台固定ネジ穴を横長の楕円に変更した。
A 給気管穴を正しい位置に修正した。
B シリンダーオイル配管穴を大型一体化した
C ランボードステイ3(上段側)の取り付け穴径を小さくした。
D ボイラー膨張受けの上下方向の取付誤差を修正するため段つき加工した
E 床板と台枠の間に隙間ができるため、台枠後端を斜辺から垂直へ変更した。
F テンダーからの給水管穴を大型一体化した。
@については、煙室の取り付け位置がボイラー前端の固定位置を決定してしまうので、やや調整代を残したものである。前後に2mm調整可能となる。ブラストノズルに影響を与えない範囲の調整で十分である。
Aは設計の段階でのミスと見られる。本来開いていなければならない位置と、1.5mmセンターがずれているので修正した。
Bは今までのままでも問題はないが、配管の曲げ加工が面倒くさく、且つナットがギリギリなので大型化・一体化した。
Cは送られてきたボイラーを台枠に仮載せしたところ、台枠内側にあるナットがボイラーと干渉したので、台枠に直接タップを立てるために小径化した。この穴に限らず、台枠裏側でボイラーに干渉しそうな穴は全て小径化して、台枠に直接タップを立てる。
Dは先々月伝えたとおり、ボイラー中心高を合わせるために台枠を加工したものである。
Eは床板との結合が面倒になるために修正した。セントラル鉄道の初期頒布は垂直になっているようである。なぜ、このような斜辺に加工したのか全く理解できない。
Fはテンダーの台枠で加工した理由と同様である。純正穴では、配管の継ぎ手を台枠をはさんでロウ付けせざるを得なくなる。これでは分解したときに台枠に配管が残ってしまう。デメリットこそあれ、メリットはないのであっさり大型化した。

台枠改良にあたって最大の問題は、材料である。セントラル鉄道の台枠は4.0mm磨き鋼だが、私の取引先の会社では磨き4.0mmの板厚は在庫がなく、定尺売りになるためコスト高になるといわれた。磨き鋼はあまり好きではないので黒鉄板の4.0mmを探したが、これは製品がないという。

どうしても良い板厚がない場合は、4.5mmの黒皮鉄板を使うが、この4.5mmというのは「呼び寸法」であり、実測すると4.2〜4.3mmほどしかない。メーカーにより多少誤差がある。加工会社にできるだけ薄いものを使用してカットをお願いするしかない。
板厚が変更になると各部に大きな影響が出るが、台枠内寸を現在の寸法にして台枠外側に誤差を回すことにした。動輪の横道に若干の影響が出ると思われるが、まあ、しょうがないだろう。
つまり、機関車の全幅が、1mm(呼び厚上)太くなるわけである。前端梁と後端梁はランボード関連の取付穴を開けてしまっているのでこれも作り直しになる。
実機の8620はデフレクターや運転台はランボード端から内側に入ったところに取り付けられているので、私も同様に工作しようと思う。そうすれば、見た目の違いはあまり気にならないのでは・・・と期待している。


ついでといっては何だが、他にも修正したい箇所があったので同様に発注した。前述の後端梁と運転室床板ステーである。後端梁は以前、改良版を発注したが(2005年11月を参照)、純正床板の幅が設計よりも狭いため誤差が発生している。当時の写真をごらん頂くとなぜこのような形状になったかご理解いただけると思う。

6mm板のカットは安くないが、せっかく丁寧に作っているのでやり直すことにしたのである。同様に運転台床板ステーも変更した。材料は双方とも6.0mm黒鉄板である。

  

左:純正  右改良後

改良版

改改良版

端梁は台枠の板厚が変更になると影響を受けてしまう。かといって台枠内寸に板厚を寄せると煙室台、ボイラー外火室に影響がでてしまう。後端梁は運転室床板の幅に合わせて変更した。前端梁は基本的に同じものを発注するが、スノープロウの取り付け穴を追加加工しておいた。

ライブスチームに挑戦のアップデートに備えて今年の工作を見直してみると、カプラーポケットをちょっとミリングして以来、全く工作をしていない。工作をしていないにもかかわらず更新をしている私は詐欺師のようである。