2005年1月 引越し・フライス盤導入

工作休止の理由のひとつは引越しであった。

実は今年からアパートを引き払って新居に工作室を移したのである。新居はあらかじめ工作することを前提にしてプランを立てたので、理想的というほどではないが、今までの工作室と比較すると夢のような環境になった。

工作室はビルトインガレージの一角に設置し、床は土間コン、広さは今までと同じ3帖のスペースである。しかし今までと最も違う点は「集合住宅ではない」ということである。これで騒音を撒き散らしても文句を言われる筋合いはなくなった。
おかげで、欲しかったグラインダーが装備できるようになった。グラインダーが入ればバイトは完成バイトから削りだして作ることができる。
下左写真は建築中のガレージだが、奥の飛び出たスペースが「工作隅」である。一方、下右写真はほとんどのものを運び終わった工作室である。ベニヤは3枚のうち手前の一枚を剥がし終わった段階で、足元に転がっているのは分解した旋盤である。

工作隅 マンション鉄工所

奥の飛び出たスペースが工作隅

お世話になりました・・・


さらに引越しにあわせて「工業用小型フライス盤」も導入した。重量は650kgある。(誤解が内容に書いておくが、工業用フライス盤で650kgは超小型の部類に入る)図体は大きいがX-Yステージはかなり小さい。卓上ミニフライス盤とたいして変わりない。もともと工場・研究所等の試作製造機として設計されたフライス盤であり、精度・剛性は問題ないが大きなワークを加工するようにはできていない。

それでも私にとってもっとも憧れだったミゾ加工ができるようになったわけで、工作の効率は飛躍的に上昇するだろう。

問題はこれらの工作機械の運搬・設置と、アパートの引越しだった。フライス盤は2004年9月に購入したまま、お店に置きっぱなしだった。

「模型蒸機の部屋」の渡邊氏は自らの引越しをHPで公開されている。氏は「転勤こそ日本でライブスチームが根付かない原因なのではないか」と指摘しているが、私自身も転勤を繰り返してきた経験上、その意見には大変納得できる。

なんせ、私が昔勤めていた会社は、「月末25日前後に異動辞令発表、翌月1日には着任」という会社だったので引越しは大変だった。いつ、どこで、どこへ異動が発表されてもよいように、電化製品は全て箱を捨てずに取っておき、さらに家具は一切買わず、常にダンボールの中から出して使っていた。実は私は平成5年から平成17年までの間、8回引越しをしている。それでも最後の2回以外は独身者だったので気は楽だった。

ちなみに、埼玉県朝霞市→愛知県名古屋市→愛知県刈谷市→静岡県静岡市→静岡県静岡市(市内で引越し)→静岡県浜松市→静岡県静岡市(アパート2F)→静岡県静岡市(同アパート一階へ・・・)→静岡県静岡市(新居)

の順で移動した。引越しは得意中の得意であった。

しかし・・・ライブを始めた後、初めて経験する引越しはとても苦痛だった。段取りが難しく、準備が多いため、熱を出して寝込んでしまった。

連載を中止した11月から旋盤を分解し、不要な材料や廃材は処分し、新居の図面とにらめっこして準備していたが、それでも簡単に行かなかった。最も困ったものは「材料・ハイトゲージ・ダイヤルゲージ」だった。これらは長さ、大きさもまちまちで、箱がなく、さらには取り扱い注意が必要なものだった。

アパートから新居までは車ですぐのところだったのでわざわざ引越し業者に頼むまでもなく、自分でやったことも体を壊した理由である。

そして何とか引越しを終えた。ボイラーこそ完成できていないが、アパートでも5インチのライブを作ることが可能だということを証明できたことは確かだ。


新居のガレージはAE86トレノも収まれば、嫁さんのフラメンコ練習スペースでもあり、さらには工作室になり・・・といろいろな用途で使われる。ガレージ全体のレイアウトを流動的にしておくため、今回工作機械は全てゲタを履かせてキャスターを付け、移動できるように変更した。
しかし、キャスターを付けた工作機械など危なくて気楽に運転はできない。しっかりした土台こそが正確で安全な加工ができるのである。

旋盤台は以前から使用している工作台の脚にキャスターをつけたものである。車輪径50mmで、一個当たり100kgの重みに耐えられる。工作機械屋の話ではキャスターの耐加重は80%で考えておいたほうがよいといわれた。

たとえば、工作台のキャスターは一個当たり100kg×0.8=80kg×4本=160kg。私の旋盤の重さ、工作台自体の重さ、その他工具やら材料を考えてもぎりぎり大丈夫だろう。

キャスター ←工作台のキャスターとボール盤の平台車
平台車の上に載っているのは工作台の純正足
キャスター キャスター回り止め
機関車ケースにもキャスター
(差込んでいるだけ)

キャスターの回り止め

実際に設置してみたところ、車輪が硬いこともあり安定しない。そこでキャスターの回り止めを購入した。
いろんな工具があるものだ。このキャスター回り止めはコロサイズの専用設計になっており、「ホックリ」はまる。これならまったく問題なかった。ボール盤も平台車に乗せたまま使用するが、こちらは車輪径が75mmでタイヤはやわらかめである。こちらも転がり防止をかませて使用する。

旋盤もボール盤もちょっとだけ運転してみたが問題なく工作できた。           

問題はフライス盤だった。もともとフライス盤設置スペースは奥行きが1600mm前後しかないため、フライス盤の背中は壁にぴったり設置しなければ自分が立って作業するスペースがなくなってしまう。

フライス盤のディメンションから計算すると自分のスペースは950mm確保できるはずである。しかし、運搬を目前にして中古工作機械屋に保管してあるフライス盤の背中を確認すると面倒なものが付いていた。
背中に配電盤があるのだ。さらにこの配電盤は蓋が付いており、その蓋の開閉スペースまで確保しなくてはならなくなった。

フライス盤は直置きにする予定だったが、これも移動式にする必要が出てきた。めったに開閉しないにしても配電盤の蓋が開閉できないのでは問題が出る。当初配電盤を移設しようとも考えたが、配線が難しくてさっぱり分からない。その上その工事期間は工作機械屋まで通わなければならない。

工具商に相談した結果、面白いものを紹介していただいたのでそれを採用した。アジャスター付きキャスターなるものである。これをチャンネルを溶接してくみ上げた枠に取り付けて、必要なときだけキャスターで動くようにすればよい。

写真はそのアジャスター付きキャスターである。コロ一個につき最大荷重250kgである。4個で1t。これなら余裕である。設置場所まで転がして、場所が決まったらネジを回してアジャスターを下げ、コロを持ち上げる。

準備が整ったので工作機械屋に連絡をした。

 

アジャスター付きキャスター フライス盤台

アジャスター付キャスター

完成したフライス盤台


当日はクレーン付きのトラックがやってきた。あらかじめこちらでキャスター付フライス盤台を用意してあることを伝えてあるので、作業は社長(自ら運んでくれました・・・)と私の二人。
クレーン車 クレーン車

←キャスター付フライス盤台へのセット。筆者奮闘中!

着陸!

寸法はきちんと採ったつもりだったが、まずまずのフィットだった。耐加重に関しては完璧だった。駐車場のアスファルト面とガレージの間には1.5cmぐらいの段差が2ヵ所あったが、ここは薄鉄板を引いてクリヤーした。

ガレージに入ったら所定の位置でアジャスターをまわして設置する。キャスターが浮き上がり、水平調整できたら終了。


で・・・ようやく工作隅の完成である。
長谷川機械HPF 工作隅

長谷川機械 HPF

設置が終了した工作隅

工作室は完成したが工作ができないことには変わりない・・・。またネタができたら更新しよう。ちなみに購入したフライス盤は自動送りやオイルポンプが付いていて使い方がさっぱり分からない。