2004年3月 「第8回シリンダー−B・第11回モーションプレート−@」
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コッペルプロジェクトにも書いたが、これまでの組み立てはすべて仮組である。シリンダー工作は現在Aまで進んでいるが、まだまだ作業が残されている。 シリンダーも未加工の工作が残り、クロスヘッドにも未加工が残り、非常にすっきりしない工作が続いている。 そんなわけで、未加工だらけの部品を組み付けても先に進むことにした。トップページには新しく部品の頒布リストを掲載しておいたのでどの部品がいつ頃送られてきたのか、また他にどのような部品が一緒にとどいたのかもご理解いただけるのではないかと思う。 このようなやり方にならざるを得ないことをご了承いただきたい。 |
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メインロッドは完成済みで、ブッシュまで取り付けられている。自分で行う工作はオイル壷の取付だけである。この工作は割愛する。サイドロッドの工作を参照のこと。 今月の工作は、 |
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1. シリンダー裏蓋→スライドバー→モーションプレートの流れと、 | |
2. ピストン棒→クロスヘッド→メインロッド→動輪 | |
への流れは同時に確認しておいたほうが楽なので、メインロッドの取付ができるようになるまで工作を進めた。 2.の作業を行うにはシリンダーにピストンを組みこまなければならない。 |
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写真は私が撮影したものではなく、セントラル鉄道から送られてきた部品と一緒に入っていた写真である。このような写真が同封されていると楽な更新になる。 ピストンをシリンダーに挿入する時、ピストンリングが邪魔になりうまく入れられない。そこで写真で見られるジグが登場する。セントラル鉄道の説明書にはジグ以外の文言は特にでていなかったが、これはピストンリングコンプレッサーという工具で正式なSSTが工具商から発売されいる。 セントラル鉄道からは薄い燐青銅が送られてきていたので、写真のように両端を曲げてペンチで締め込み、木槌で叩き込んだ。組み込みで注意することはT−5の復活でも書いたが、ピストンリングの合口をそれぞれ逆向きにしておくこと。 あぁ!作業写真を撮らなくて良いというのは楽だなぁ。ホント、すごく面倒! ピストンを挿入したら裏蓋を取り付ける。裏蓋はコッペルプロジェクトでも触れたが、ピストンロッド8.0mmに対して、8.1mmで穴あけされている。Oリングシールで別のパーツで圧着する構造になっている。 しかしこの工作は今やらなくても良いので、Oリングは入れずに仮組した。 |
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スライドバーの取付はライブの工作でも精度が要求されるパーツである。台枠水平面との平行度、台枠板面からの平行度が取れていないとクロスヘッドの動きを妨げ、性能に影響する。 シリンダー裏蓋にはスライドバー取付台座がはまるスロットが加工されている。ここに真鍮角材をはめてからスライドバーをビス止めする。 写真では分かりにくいが、スリットの一番奥部分は三面加工になり、エンドミルのRが残っている(下・上左)。奥までスライドバー取付台座が入らないので台座側を面取り加工する(下・上右)。 |
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裏蓋スリット加工 |
取付台座裏側(シリンダー裏蓋側) |
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取付台座表側(スライドバー側) |
スライドバー取付 |
スライドバー取付台座は真鍮の角材で、バーが乗る部分だけフランジ加工してある。これを糸鋸で面取りし、スライドバーの穴を写しあけて、さらにシリンダー裏蓋に穴を写しあける。 スライドバー取付位置とピストン中心線は平行でなくてはならず、さらにこの位置がモーションプレート取付位置を決定する。モーションプレート取り付け位置をパーツを採寸後すべてCADで位置確認したが、誤差は0.2mmあった。 1月の図面を良く見ていただくと分かるが、クロスヘッドの位置をシリンダー中心線を基準に取り付けたため、スライドバーと下側クロスヘッドすべり板が重なっている。上側には隙間がでている。これが0.2mmの誤差である。実測設計図面よりもスライドバーの位置が0.2mm高くなる。 蓄積誤差と考えられる。採寸誤差もあるのだろう。スライドバー後端とメインロッドの干渉がこの誤差で解消されればラッキーである。 スライドバー・取付台座・シリンダー裏蓋はM3キャップボルトで締結する。私はシリンダー裏蓋にタップを立てて、後はバカ穴にした。 工作方法は、あらかじめスライドバーの穴あけをしておき、さらに取付台座をロックタイトで接着し、シリンダー裏蓋と取付台座を接着した後一気に穴あけした ロックタイトは熱を加えれば外れるのでバイス替わりになる。 |
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つづいてモーションプレートの取り付けである。なんとこのパーツ、つい最近送られてきたのである。本来はかなり早い段階で送られてこなければならないものだが、ここまで引き伸ばされてしまった。パーツリストを参照のこと。 しかし、これほど重要なパーツにもかかわらず、穴あけの位置指定がされていなかった。おそらく製作する人によって誤差が出てくるからだろう。それでも図面には基準寸法を入れて欲しいものである。何度も書いていることだが、結局図面はあってないようなものなのだ。 一応、私が出した数値を掲載しておく。いつかセントラル鉄道8620を作る人が見たら役に立つだろう。 |
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モーションプレート取付穴位置 |
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カシオペア座のような穴あけである。このうち、図面左側の3つ穴はM4で台枠中間梁と友締めになる。右の二つ穴はM3で裏からナット締めである。台枠工作で中間梁を作り直したがそのナットの逃げはこのM3ナットのために設けたものである。 図面では左列と右列の間隔がXと出ているが、この寸法を正確に採寸することは不可能なので不明としておいた。 |
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モーションプレート穴あけ |
スライドバー穴あけジグ |
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スライドバー後端穴あけ |
スライドバー取付部 |
上左写真はモーションプレートの罫書きと穴あけである。青く塗ってあるのは「青ニス」がわりの「青マジック」。 上右写真はスライドバーのモーションプレート側である。ここはできるだけ頭の薄い(こいつは禁句だ!)ボルトを使用しなければならない。 上・右下写真はモーションプレートを上から見たものだが、写真の状態は倒立している。上部に突き出たフランジにスライドバー後端が取り付けられる。写真ではすでに穴あけ位置が確認できると思うが、ここは以下のように穴あけした。 |
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モーションプレートとスライドバーをCクランプで固定し、3mmのロングドリルで下から(写真でもドリルが見える)穴を移しあけた。上右写真はレール側から見たスライドバーの穴あけ位置。バックに見える白くて丸いものは部屋の天井灯である。 新しい(古いが・・・)デジカメはレンズを回転できるのでこのような写真も簡単に撮影できる。 モーションプレートにはさらに加減リンク耳軸受けを取り付けなくてはならないが、これも未加工のまま次回に回す。 |
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メインロッドを組み付けてクロスヘッドとつなぐ。早速動輪を回転させてスライドバーとクロスヘッドの動き、およびスライドバーとメインロッドの干渉を確認した。 | |
スライドバーとメインロッド |
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結果は写真のとおりである。図面よりもはるかに干渉は少なかったが、ボルトの頭を削る必要があった。それでも若干干渉している。 ボイラーが載り、バネ上加重が増えることを考えるとそれなりの対策が必要になるだろう。本組みの段階でしっかりバネ位置を計算して取り付ければ何とかなるだろう。 動輪を回転させるとピストンとシリンダーのあたりが出ていないためか動きが硬かった。しかし数回機関車を往復させたらスムーズに回転するようになった。スライドバーの取り付けがうまく行った証拠である。
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煙室台を載せて記念撮影。どうせまた分解するが! | |
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おまけ・・・ 保存状態があまり芳しくなかったので静態保存蒸気機関車のページに掲載していなかったのだが、私の住んでいるすぐ近くの公園に保存されているD51146に動きがあったので報告したいと思う。 動きというのは本当に動いたという意味である。(走ったわけではない) D51146は、毎月一回、静岡機関区OBによる保存会の手できれいに整備されている。パーツの欠損はヘッドライトガラスぐらいである。 |
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静岡市駿府公園に保存されていた頃 |
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D51146は室蘭本線を中心に活躍していた北海道の機関車である。スノープロウこそないが、切りつめデフ、ツララ切りなど北海道のカマらしい特徴がある。ひそかに公園に通っては寸法を取り続けていた私の先生でもある。 この機関車は児童会館の教育施設の一環として保存されたのだが、その児童会館(写真で見える後ろの白い建物)が移転し、本機関車も別の公園に移動したのである。一時は解体の話もあったが、最悪の状況は逃れ別の公園に無事保存された。 移動はテンダー、ボイラー、台枠および車輪の三分割でおこなわれ、ある人からの情報により移動の現場に立ち会えたのである。 超大型のクレーン2台で手際よく持ち上げられて復線した。めったに見ることができない蒸気機関車の解体・組み立てである。
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写真はすべて移転先の公園にすえつけられたとき、平成16年3月8日の写真である。残念ながら新しい保存場所にも上屋は付かなかった。 ライブスチームでも下回りだけの状態にボイラーがのると、いきなり3倍ぐらいの大きさになったような錯覚をする。それは本物でも同じで、下回りだけのD51は実に小さく頼りない感じだった。 |
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