2003年9月 第10回
サイドロッド
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さて、前回「第7回ブレーキ」の加工状況を報告したが、本来セントラル鉄道からの頒布回数から行くと、第8回、第9回のエンジンおよびバルブ関連の工作が本来である。 しかし、工作が遅れ、未加工部品の山がどんどん高くなっていく中、第10回のサイドロッド・ドレンコック関連の部品が届いた。 サイドロッドを後に回してしまうと、シリンダやらバルブ関係やらがついてずっしりと重たくなった台枠を持ち上げたりしなくてはならず、取り付けに余計な手順がかかるだけになる。 まずはサイドロッドを取り付けて、それからシリンダー関連に移りたいと思う。タイトルが毎月分かりにくいと思うが、セントラル鉄道の頒布では、メインとなる部品におまけ部品が付随して送られてくるので配布回数と工作状況を上手くリンクできないでいる。第10回など良い例で、サイドロッドがメインパーツで、ドレンコックなどは付随パーツになる。配布回数は行ったり来たりになるがあらかじめご了承いただきたい。 ホームページの最終回には全ての頒布と送付された内容を一覧にして掲載しようと考えているのでそれまでは・・・順番ぐちゃぐちゃです。 |
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これまでの連載で掲載したように、動輪の位相合わせ、軸距離、軸箱の測定は全て調整している。理屈から行けば当然一発で動輪は回転するはずである。というか、このためにすべての情熱を注いできたともいえる。 噂どおり、サイドロッドのパーツには燐青銅の偏芯ブッシュ4個が含まれていた。およそ0.5mmの偏芯である。 燐青銅偏芯ブッシュ |
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続いて素晴らしい加工がされていたサイドロッドをご覧頂こう。加工面をよく観察すると、材料は黒皮鉄板で、レーザーカットで切り出し、切削・研磨して仕上げたものだということが分かる。理由は | |
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1.裏面に黒皮が一部残っていた。 |
2.穴にレーザーカット特有のぎざぎざがある |
である。 写真をご覧いただきたい。左上写真は残っていた黒皮部分である。裏面なので問題はない。ブッシュ穴の小さな穴はオイル穴で自分で加工する。また左写真の穴はブッシュ挿入のためにある程度研磨をした後の加工済み写真。 一方、ロッドの表側はぴかぴかである。オイル壷取り付け部分からロッド部分にかけての複雑なRは、大きなRで統一加工されておりRが多少不自然になっている。しかし印象はそれほど変わらない。また実物と同様にロッドの厚みが表と裏から削られており薄くなっている。ロッドのみぞ加工も素晴らしいできばえである。 |
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私の計画では偏芯ブッシュは使わなくて良いはずなので、まずは旋盤で同芯ブッシュを製作して第一連結棒(第一動輪と主動輪をつなぐロッド)に組み込んだ。まずは片方、そしてもう片方・・・・しかし死点でロッドが入らない! 嫌な予感がしたが、いきなり第一連結棒で動輪が回らない。左動輪が前死点位置に来ると動輪がロックする。引っかかる程度ではない。完璧に回らない!動輪位相、軸距離、軸箱精度、台枠精度はすでに測定して確認済みである。 ということは、クランクピン距離がずれているということになる。こんなところまでダメですか? ブッシュ抜きを旋盤で作り、一旦ブッシュを抜いた。調整ですむ程度の引っ掛かりではないので純正偏芯ブッシュを使用することにした。 純正偏芯ブッシュは厄介者で、ロッドに圧入すると、ブッシュ自身がひずんで内径の真円度がくずれて、クランクピンに入らなくなってしまった。レーザーカットは切断面がテーパーになるので、まずは6mmの砥石をボール盤に取り付けて穴をヤスった。 そして第一連結棒から調整を始めた。 偏芯ブッシュは偏芯方向を真上または真下に向けている場合は同芯ブッシュと同じ状態になる。そこから徐々に回転させていくと、ロッド穴距離が短く(または長く)なっていくのである。 まあ・・・正直にお話すると、第一連結棒の調整だけで実に二週間かかった。仕事から帰ると毎日、少しづつブッシュを回して、圧入・抜き取りを繰り返した。とりあえず回るようになるまで調整したら、今度はスムーズに回る位置を探すために再びブッシュを抜く。 ある日、ロッドを抜くために車輪を回していると動輪が引っかかり、それを手で無理やり回していた。突然動輪が回転し、動輪とサイドロッドの間に指をはさみ流血の惨事になった。サイドロッドは角がシャープになっている。指を落としてしまう人もいるらしいので皆さんも十分注意しましょう! 心臓の弱い方はよく見ないで下さい。 |
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まあ、こんな感じで調整を続けていき、ようやく自分が納得できるところまで第一連結棒を取り付けることができた。最終的には動輪を浮かせた状態で動輪を惰性で回し、毎回違うところで止まるようになるまで調整した。 | |
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偏芯ブッシュ(左上に偏芯しています) |
ナックルピン(裏は皿頭・表ナット止め) |
その後、肘ピンを差しこみ第二連結棒を取り付けて、三軸全部を調整した。第一連結棒に比べて調整が楽だった。おそらくクランクピン距離が正確だったのだろう。 このような調整作業は写真を残しても面白くないので撮影していなかったが、文章中心のつまらないページになってしまった。 こんな月もあります。 |
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さて、どうして同芯ブッシュが使えなかったのか?いろいろ調査した結果、あやしい加工が見つかった。これを見るかぎりメーカー側で位相調整?をしたことは確かなようだ。動輪の穴にクランクピン取り付け座を偏芯加工している。結果はでていないが・・・。 | |
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!・・・・。 |
油壷 |
位相合わせは別に難しい作業ではないと思うのだが・・・・。角型キーピンにこだわるのも結構だが、ちゃんと動輪が回るように仕上げて欲しいものだ。 最後に油壷を取り付けて完成させた。 写真をクリック! |
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