2003年5月 第5回 軸箱・軸箱守・バネ装置−@
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セントラル鉄道8620は過去何回かにわたってマイナーチェンジを繰り返して発売されている。私が取り組んでいる頒布では過去にない大きな変更が行われている。 それはバネ装置である。過去頒布分は全て上バネだった。今回は実機と同様下バネに変更されている。それに伴って台枠等にも大きな変更が行われている。が、説明書・図面は変更されておらず、上バネ式の設計図が届いている。 |
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さて、本機関車の軸受けは平軸受けである。上下分割式で軸穴および外径等の加工は済んでいる。しかし、軸箱にはバネ受けやらオイル通路などの加工が必要になる。この加工がかなり面倒なので、先に軸箱守りから仕上げることにした。 軸箱守りは鋳物でできており、穴あけ以外の加工はすでに処理されている。軸箱とのクリアランスはとてもシビアである。やや固めという感じだ。第三動輪用は火室との干渉対策と思われるが上部がふき取られている。 早速台枠にクランプで固定し、穴を移しあけて取り付けた。 |
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写し開け |
第一・第二動輪用(手前) 第三動輪用(奥) |
軸箱と台枠の接合する面は予めミーリング加工されているが、どういうわけかフランジにRがついており台枠と密着しない。台枠側の角をヤスリで落としてストレスがないようにしてから穴あけした。 全ての軸箱守りを取り付けた後、軸箱を挿入した。軸箱は第一・第三用と第二用は厚さが異なっている。(下左) |
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第一・第三用/第二用 |
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左側が第一・第三用、右側が第二動輪用である。第二動輪の横動はゼロである。一方、第一・第三はそれぞれ2mm程の横動が許されている。軸箱自体は横動しないが、動輪が横動する。ここはメーカー製機関車のデーターとして必ずチェックしておかなければならない。これならすくなくとも9Rは問題なくクリヤーするだろう。 さらに先月動輪から抜き去った純正車軸を軸箱に通し、上下動を確認してみた。これが全然ダメで動きが悪い。軸箱取り付けビスに応力がかからないよう何度かやり直したが結果は同じ。 ついでに、二本余った純正車軸を第一と第二、第二と第三と順に通して軸間距離の測定を行った。測定は左右の誤差だけを確認できれば良いため、車軸の外径で行った。 |
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ホイールベース測定箇所 |
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図面は動輪を書き込んでいない第一動輪軸箱と第二動輪軸箱である。下バネはこのように台枠の下側に板バネがつく。 測定の結果、第一動輪・第二動輪間および第二・第三動輪間とも左右の数値は100分の1mmまできっちり一緒だった。一安心というところである。 |
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次に、軸箱の加工を行った。先ほども書いたように、今回の頒布は初めて下バネに変更されている。設計図は上バネの図面に変更すら指定していない図面が添付されていた。単純に上バネを下バネに付け直せばよいのだが、寸法というものが一切入っていないので、まず寸法から割り出すことにした。 軸箱の加工は以下のとおりである。 |
1. | 油通路の加工およびヤスリがけ |
2. | 油壷の穴あけ |
3. | 板バネ受けの取り付け |
4. | 軸箱控の取り付け |
もっとも面倒なのは3の板バネ受けの取り付け位置割り出しである。これを後回しにして、まず1.と2.から取り掛かった。 写真をうっかり撮影し忘れてしまったが、加工は以下の手順で行う。 |
1. | 軸箱上面にまず1.5mmの穴を軸穴まで貫通させる。 |
2. | 軸穴には予めオイル通路が確保されているので、通路に貫通するように位置を合わせる。 |
3. | 6mmドリルで軸箱上面から深さ3mmまでオイル壷として穴掘り。 |
4. | 軸箱を分割して、見切り面の面取りを行う。 |
これで上部から入ったオイルは通路をとおり、分割面の面取りをとおり、軸穴全体にオイルが廻るという理屈である。 どうせ油壷はすぐにゴミやらホコリやらが詰まって使い物にならなくなるが! |
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続いて、板バネ受けを製作した。板バネ受は穴あけポイントを皿モミ加工してある鋼板と、段つき加工された丸棒を銀ロウ付けして製作する。説明書によるとタップ・ダイス加工して組み合わせたものを銀ロウ付けするよう指示されていたが、タップ・ダイスほど面倒な作業はないので、ネジ加工はせずに直接はめ合わせて銀ロウ付けした。 | |
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板バネ受 |
軸箱取り付け面 |
丸棒のセンターの穴は板バネ胴締を取り付けるビス穴だが、脱線すると折れやすいボルトなので、穴は貫通させた。当然タップもきっちり貫通させておく。裏面は軸箱にビス止めするが、しっかりガタなく固定するために旋盤で面を出した。 苦手だった銀ロウ付けもBAg-1を使用するようになってからはとても楽になった。仕上がりも写真のとおりである。 |
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さて、今回の最大の難関は、板バネ受を軸箱に取り付けるという作業である。取り付け位置が一切説明されていない。軸箱守控には板バネ受の丸棒を貫通させるための穴が空いている。穴径は丸棒よりおよそ0.5mm大きく開いている。 したがって、正確な位置に取り付けなければ軸箱守りの穴を通すことができなくなる。写し明けするのも難しいので、まずは図面を製作して位置決めをした。 |
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軸箱および板バネ側面図 軸箱および板バネ受上面図 |
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右図面が理想の位置である。黄色パーツが板バネ受け、紫は軸箱守、赤は軸箱、緑は台枠である。基本的には軸箱守控の穴を優先して取り付け位置を決定した。 図面に基づいて穴あけを施し、タップを立ててビス止めした。この加工についてもドリル刃を完璧に殺し、食い込みがないように注意した。 |
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毎回のことだが、今回もヤッパリ失敗した。図面に基づいて加工したのは良かったが、台枠に組み込んで動輪を取り付けたところ、軸箱はピクリとも動かなかった。当然である。軸箱の遊びを計算に入れていなかった! 軸箱守り控には板バネ受けが貫通するが、穴に引っかかってしまっている。 軸箱の加工は終えてしまっているので、しょうがなく軸箱守り控の穴を拡大した。クリアランス分、0.5mmほど外側へ拡大しなければならないので、ボール盤にエンドミルを咥えてがりがり長穴にした。その結果が以下の写真である。 |
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まだ中央に位置していません・・・ |
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今月も又失敗をしてしまいました。(*_*) | |
ゴールデンウィークにJR四国宇多津駅で開催されたライブスチームの運転会に顔を出した。それと同時に多度津工場ではフリーゲージトレインの見学会が開催されていたのでさらに多度津まで足を伸ばして見学してきた。 私の興味はフリーゲージトレインではなく、C58333だった。しかしC58333はサビが酷く、保存状態は劣悪だった。もうすこし手入れをして欲しいものである。がっかりしたが、驚くべきものが他にあったため救われた。 一つはDF501号機である。この機関車のことは知っていたが、こちらは知らなかった。DE10のトップナンバーDE101である。 |
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この機関車もよい保存状態状態ではなかったが、沢山作られた機関車のトップナンバーには独特の風格が漂っていた。 | |
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