2003年2月 「運搬ケース」
私の工作場所は6帖洋間のさらに3帖分のスペースである。その3帖分のスペースの内、さらに1.5帖分のスペースを工作台とボール盤が占有している。
下図の黄色の枠部分にベニヤ板(3枚)が引いてあり、機関車工作の作業はこの場所のみ許可されている。掃除機、スリッパなども専用(お古とも呼ぶ)のものを用意している。

部屋の間取りと工作場所 (^_^;)

ボール盤の横にはスペースがあるが、ここには部品の山とゴミ箱、工具が所狭しと並んでいて、クロゼット(図面では引き違いだが実際は両開き)のドア開閉を邪魔している。
一方、作業台上は旋盤がほとんどを占めており、罫書きやポンチ、測定などはパソコンデスクの後ろから作業台までのわずかなスペースで行われている。もはや限界で、完成したテンダーをこの場所において新たに機関車を製作する余裕などどこにもない。ベランダはエアコンの室外機などで占領されている。

テンダーの工作はT-5の工作時から継続して使用してる洗車用の脚立の上で行っていたが、機関車の全長が長く、この洗車脚立では不足になった。

テンダーをとりあえず実家に運ばなければならない・・・機関車工作台を作らなければならない・・・と考えているときに、両方を兼ね備えた運搬ケースを作ればよいことを思いついた。

つまり、日ごろは機関車製作台として場所を占有し、その機関車を運ぶときには運搬ケースになればよいわけである。機関車を固定する線路を取り外し式にして、ケース上面にも取り付けられるようにしておけばよい。
そこで、テンダー運搬ケースと同時に機関車運搬ケースを製作することにした。材料は鉄アングルが一番安価だが、下記にある理由で「矢崎のイレクター」http://www.yazaki.co.jp/を使用することにした。

@ 運搬と工作台をかねた大きさとする。
A テンダー用は機関車用と上下2段積にできるようにする。
B 取り外し式のコロを付ける。
C 車の内装や床に傷をつけない素材を使う。
D 製作が簡単。

「矢崎のイレクター」は鉄製パイプに樹脂が巻いてあり、各種継ぎ手を接着することで何でも作れるというものである。ホームセンターならどこでも手に入る。
継ぎ手はプラ製なので床に傷をつけない。やや高価なのが唯一の難点。

イレクターの規格、上記理由でこのような形状で製作する。

紫のラインがイレクター製ケース部分(継ぎ手省略)

矢崎のイレクターは規格で長さが数種類用意されており、上記図面縦のパイプは全て45cm、横方向の長いパイプも45cm、短いパイプは30cmである。
ただ、幅だけは適当な長さがなかったので、45cmのものを10cmカットし、35cmにした。カットした10cmのパイプは後に使用する。

それぞれのパイプをつなぐジョイントには「貫通タイプ」は使用せず、全て継ぎ手を介して接着する。また機関車ケースは上面下面を構成する継ぎ手を同一のものとした。その理由は、カットした10cmのパイプをアダプターにして機関車とテンダーを上下重ねて保管できるようにするためである。また、残った10cmのパイプには滑車をつけて、運転会等で運ぶときには下駄にする。

機関車運搬ケース上側継ぎ手

下側継ぎ手

写真左は機関車ケース・上面の継ぎ手である。ただの突起となり邪魔だが、ここに切断して余った10cmのパイプを差しこみ、テンダーケース下面の継ぎ手に差し込むわけである。こうしておけば、ずれてテンダーがケースごと落下することはまずない。

10cmの短いパイプは機関車側、テンダー側合せて14本も発生するので、そのうち8個にはコロを接着しておき、ケースを転がす必要がでた場合はパイプ付コロを下側継ぎ手に差し込んで使用する。

レールにはアルミのアングル材を使用して軽量化する。アルミのアングル材をアルミ丸棒で梯子のように組み立てる。工作するときにはレールを外してケースの上面に据え付ける。下からの作業も可能となり便利なはずである。

以前からアングルを利用したレールを作りたいと考えていたが、当時は旋盤を持っていなかったため工作する気になれなかった。しかし127mmに丸棒を切り出す、丸棒のセンターに穴を空ける、タップを立てるという作業は旋盤がもっとも得意としている工作で、いまでは簡単に作ることができる。工作機械はやはり偉大である。

完成したテンダー運搬ケースとレール


完成したテンダーとテンダーケースを車に積み込み実家へ運んだ。機関車とレールの固定はCクランプを4個使い、車輪回り止めにしたが特に問題はなかった。

完成したテンダーの重量は測定しなかったが、工作している段階で測定した結果はおよそ26kgだった。下回り16kg、上回り10kgである。ポンプ、配管、塗料、飾りを1kgで計算すると大体27kgではないかと思う。結構重い。


セントラルの配布会員申し込みをすると、実寸大完成図面が送られてくる。これは青焼きで壁などに貼ると経年変化で色が薄くなってしまう。

近所のコピーセンターで図面を実寸大コピーしてもらい、それを部屋の壁に貼り付けた。縦幅A1で長さは自由に設定できる。DXFデーターを持ち込むと実寸大プリントアウトもしてくれるので、夢の自作をはじめるときにはぜひお願いしようと思う。

実寸大図面


さて、「独り言」に入れてもよいグチになってしまうが、製作のペースが遅い。正確に言うと工作は遅くないのだが、考えている時間が工作の時間よりもはるかに長いのである。

セントラルのキットは部品の配布に問題があると当初は聞いていた。しかし不定期ながら、平均すると2ヶ月〜3ヶ月で部品は届いている。私なんぞはすでに配布4回分未加工の状態で部品がたまっている。これを加工するだけでも1年は楽勝でかかってしまう量である。

過去に本キットを制作した経験者や、同時進行しているほかの頒布会員との情報交換で、予め発生するであろう重要問題は大体入手できる。しかしその対策法がなかなか思いつかない。

はっきり言って、この「機械加工済組立キット」は、未加工で配布を受けたほうがはるかに楽な場合がある。図面はほとんどないに等しく(図面があるためにかえって混乱することもある)、私の場合部品の入ったダンボール箱が家に届くと、まず行うのが図面製作である。箱に入っている鋳物部品や引物部品を全て確認し、ノギスで正確に測り、CAD上でそれを組み立てて、それから加工順序を判断して(あるいは設計変更して)ようやく準備が整う。

CAD上で組立てて問題が発生した場合は、その原因をつきとめ、対策を練って加工となる。

HPで公開している部分はこの一番最後加工の部分だけである。別に高度な工作をしているわけでもない(大体高度な工作は私にできない)ので、本当は「重大問題に対する対処法」のような思考の過程を公開したいのである。しかしこれは私の頭の中で行われていることである。

来月から機関車本体に工作が移るが、「経験者」によると、これからが本当の重大問題が発生してくるらしいので、下手をすると『200X年XX月 「現在対策を思考中」』などと言うタイトルで白紙更新される日が本当にやってくるのではないかと心配になる。

めんどくさがりの性格なので、一度アイデアにつまるとなかなか工作をしなくなる。どうしようかと考えているうちに他のものに興味が移り、(この季節だとスキーに行きたくなったりして)ますます工作が遅くなる。

幸いにもHPで製作状況を公開していることが精神的にノルマを与えている。ひと月でも更新をサボるとダラダラ行ってしまうのではないかとムチをくれてやって工作を始めるわけである。

ライブスチームのキットについては「需要と供給のバランス」が明らかに崩れており、選択肢が少ない中で自分が納得して購入したものである。自分でそれを乗越えるしかないのだ。

「これもまた楽しみ?」と受け止めて工作を続けていく次第である。