2003年1月  仕上げ・テンダー完成

給水配管が完成したので、これでテンダーを構成しているパーツが全て整ったことになる。残りの仕上げをして塗装に入ることになった。

残っている作業は以下である。

@ 梯子取り付け穴
A ヘッドライトステイ取り付け穴
B 軸箱蓋取り付け
C 電気配管および配線
D 塗装
本体に残っている作業としては後部梯子の取り付けビス穴と、ヘッドライトステイの穴あけである。後部梯子は先月作ったステップの取り付けビスと友締めするので、計算した上で穴あけした。ヘッドライトステイは側板の合わせ面を基準にして適当に開ける。

テンダー前面図・後面図

梯子取り付け穴加工

軸箱蓋

右写真は軸箱蓋である。セントラルからは軸箱蓋の材料として真鍮板が入っていた。しかし同じ大きさでしかも複雑な形状のものを複数切り出すのは大変なので、これもレーザーカットで外注した。実物とやや形状が異なるが、鋳物の関係でこの形状にせざるを得なかった。

軸箱蓋がつく面は角度がついているため、穴あけする場合には軸箱を傾けてドリルの当たる面を平行にしなければならない。ここはバーチカルスライダーを使用して、角度付き台座を木材から製作して穴あけした。

後はビスで固定する。


走り去る列車の尾灯は私が最も郷愁を感じるところである。せっかく標識灯をつけているのだから・・・・ということで点灯可能にした。

しかし問題は配線をどうするかということだった。このように外板がそのまま水タンクになっていると、外を回して配線するしか方法がない。(水の中を通した人もいる)実機は電気配線を通す配管が用意されている。
この方法で取り付けることにした。

配線はテンダー本体をアースしても、標識灯左右とヘッドライト3本の配線を必要とする。電気パーツショップでもっとも細い配線を三本束ねて配管を通した。配管は外形2mmが理想で、且つ内径はできるだけ太いものが理想である。
散々探したが、近所の模型屋で一本だけステンレス丸パイプ(外径2mm、内径1.0mm、長さ200mm)を見つけたので、これをヘッドライト用にした。

残りはエコーモデルの真鍮細密パイプを購入した(外径2mm、内径1.5mm、長さ100mm)。それぞれをしかるべき長さに切断して、3mm×3mmの真鍮角棒を通して繫ぐ。

細い角材のセンターに穴を空けるのは至難だが、ここでも4つ爪スクロールチャックが大活躍である。ゼロポイントで咥えるとほぼ真中に明けることができる。

パイプと角材はそれぞれ差し込むだけにしておき、角材をテンダー外板に接着剤で取り付けた。パイプを抜き差しすることで断線に対応する。


最後で最大の難関、塗装に入ることになった。

テンダーを塗装するということは機関車全体が完成した時のイメージを想像して塗装しなければならない。この段階で、機関車全体の仕上がりを考えなければならなくなった。

まず、イメージからだが、私が現役蒸気機関車をイメージするときにまず浮かぶ姿が、「真っ黒+サビ汚れ」である。綺麗に真鍮帯を巻かれたものや、ランボードに白を入れているもの、またロッドに装飾を施したものなど、旅客用機関車を中心にいろいろな機関車がいたようだが、あくまでも少数派だったはずだ。
どこでも見ることができた、「薄汚れた産業用運送機械」こそ蒸気機関車の魅力である・・・と勝手に想像している私は全てを真っ黒にすることにした。(塗るのが楽という理由が本音だったりして(^^ゞ)

機関車の完成度を左右する塗料だが、ライブスチームは苛酷な環境で使用するため、なかなか理想どおりの色調に塗装できないのが現状である。

T-5の製作記でも書いたが、、国鉄型機関車の塗料としては、技巧舎の機関車に使われている耐熱半つや黒の「オキツモ」が最も私がイメージする実機の色調に近い。今回はこの塗料を使用することにし、早速技巧舎から6本取り寄せた。

最初に小物から塗ってみたが・・・・なかなか難しい塗料である。「薄塗りが理想」と説明書にあるが、これがなかなかできないのである。また乾きが遅く、そもそも耐熱塗料は塗った後焼付けが必要になる。はんだを使用しているので高熱の焼付けは不可能である。
色調が自分の好みに極めて近いので最後まで諦めきれず挑戦し続けたが、私の技術では上手に塗装することが不可能と判断して使用を諦めた。かなり先になるが煙室や煙突には使ってみる予定。やむを得ず他の塗料を探すことにした。ある人から言われたことだが「耐熱塗料が一般の塗料に比べて優れているところは耐熱性能だけ」という言葉はやはり本当のようだ。

T-5には「ウレタン入りラッカー塗料つやあり黒」を使用した。当初はピカピカとつやがあったが、機関車を運転するたびにつやに落ち着きが見られ、なかなか良い塗料であった。下塗りも塗料の剥離を防いでおり、1年使用した段階では悪くない判断だったと思う。しかし、私の塗装技術に問題があり、表面のざらつきを皆無にすることはできず、仕上がりに不満があったことも確かである。

1番ゲージのC11再塗装には「エナメル系つや消し黒」を使用したが、私がいままで使用した塗料の中ではもっとも塗装しやすく、また仕上がりが極上であった。C11にも剥離は見られず、またつや消しといっても完璧なつや消しではなく、半つや消しのような印象で悪くない。オキツモの代替にこれを使用することにした。

最初に車輪等の下回りから塗ってみた。軸箱のジャーナル部をマスキングし、後は真っ黒に・・・Paint it black!

まっ黒!

架線注意プレート

なかなか仕上がりがよかったので、次々とパーツを塗装していった。写真がこれしか残っていないので申し訳ない。

上回りの塗装前に、塗料とともに剥離されたら困るナンバープレートと「架線注意」のプレートを接着剤で貼り付けておいた。この架線注意プレートはクラウンモデルから購入した。取り付けにあたり、周囲の白い余白を糸鋸で切放し、端面をヤスリで磨いた。

また、全て真っ黒ではメリハリがないので、バネ吊、板バネ、軸箱守り控え、胴締は黒染めを行いそのまま取り付けた。黒染め液で染めた後、ワイヤーブラシで磨き取り付けた。

軸箱守控(磨き済み)

バネ吊ピン(磨き前)

黒染め液に浸すと黒い粉状のもので覆われる(写真右上)。これをワイヤーブラシでこすると上左写真のように理想的な仕上がりになる。


テンダー上回りの素材は真鍮である。塗料の食い付きがよくない素材で、一般的にはプライマーを下塗りしてから塗料を載せていく。
問題はプライマーを吹いたままの状態で上塗りしてしまうと表面の凸凹がでてしまうということである。私の技術的な問題も大きいが、ベランダで塗装せざるを得ないという環境も劣悪の状態である。しかも、テンダーには420本のビスが埋め込んであり、これを綺麗にペーパーで整えてから上塗りというのもかなり面倒だ。

どうするべきか散々考えたが、経験上ライブスチームの塗料はどんなに綺麗に塗装しても、どうせぼろぼろになり剥離することは分かりきっている。ならば後々簡単に上塗りができる塗料を選び、補修を有利に運ぶほうがよいだろうと判断した。剥がれたらまた塗ればよいのだ。

そして下塗りをせず、粗めのペーパーで上回りをざっと磨いた後、いきなりエナメル系塗料つや消しを吹き付けることにした。エナメル系は重ね塗りをしたときの仕上がりが超一品である。
もちろんナンバープレート、架線注意のプレート等は塗装前に貼り付けておき、マスキングする。

塗装した後、1週間以上放置しよく乾かした。その後各部品を組み付けた。写真を残していないので文章だけになってしまった。


大まかなパーツの塗装が終った段階で組み立てた。下写真で写っているエアーホースはクラウンモデル製である。
また写真でちょっとだけ写っている丸棒は足ステップである。

テンダー前部

後端梁付近

肝心な塗装作業中の写真が残せなかったので、全体像が現れてから写真を撮影したが、質感はとても良い仕上がりになった。予想通り、真鍮部分の塗料はとても剥がれやすい。セロテープを張ってめくればいとも簡単に剥がれてしまうだろう。
さらに、電気配線をおこなった。全ての配線をハンダ付けし、ボディアース側は、小さなワッシャーを自作してM1.2小ネジで留めた。

標識灯配線

ヘッドライト配線

電池ボックスは運転席側の道具箱に設置した。電池ボックス固定には両面テープを使用した。スイッチは3ポイント式で、進行方向側へ倒すと標識灯が、後進側へ倒すと前(後?)照等が点灯する。写真で見えるもう一つのスイッチは機関車用で、機関車が完成してから配線する。

標識灯・ヘッドライトスイッチ

標識灯点灯中


そしてテンダーに取り掛かって1年と3ヶ月・・・ようやく完成した。

ようやく完成しました (^_^;)

しまった!まだ給水口のフタと炭庫のフタを仕上げていなかった!まあ・・・いいや。ひまになったらや-ろうっ (-_-)