2002年7月 手動ブレーキ増設−A

レーザーカットで切り出した各部品を組み立てる。

最初に制輪子から組立を始めた。レーザーカットで穴あけまで済ませているので、サンドウィッチの外側片方にタップを立て、真中ともう片方の穴はネジ径まで拡大しておく。今回はM2.6を使用した。仮組するとぴったりで、制輪子吊に取り付けてもガタはなく、クリアランスは上々だった。銀ロウ付けするために酸洗いを行い、酸化皮膜を取り除く。

銀ロウ付けは苦手だが、材質が鉄同士なので思ったより簡単に作業が進んだ。最初の一つ目は制輪子吊の取り付けられる溝部分に何もはさまず銀ロウ付けしたが、熱による膨張のせいか制輪子吊が取付できなくなってしまった。そこで以後のものは制輪子吊取り付け穴に3.2mmの同厚板をはさんでヤトイにして銀ロウ付けした。


銀ロウ付けした制輪子

これを6個製作し、それぞれを制輪子吊に取り付けてきっちりはまることを確認しておく。

同様の作業となるフォークエンドも加工は同じ。フォーク側の穴にはヤトイをはめて銀ロウ付けして、溝幅3.2mmになるように組み立てる。完成後は制動梁を差し込んで動きが渋くないことを確認する。フォークエンドの加工で一つ面倒なところは、端面に制動引き棒が取り付けられる穴をあけなければならないことだ。旋盤加工ができればよいのだが、4つ爪チャックで保持できる最小径より小さいので、やむを得ずハイトゲージで卦がいてボール盤であけた。

私の持っている4つ爪インディペンデントチャックは大型で、鋳物などの加工には向いているが、小物の加工には全く使い物にならない。輸入物のチャックには「4つ爪スクロールチャック」があるらしく、これならセンター出しも不要な上、小型の角材などの加工にはだんぜん便利だろう。


完成したフォークエンド

国内メーカーでも、4つ爪スクロールチャックを取り扱っているメーカーがあるので、一応URLを掲載しておく。
小林鉄工株式会社

http://www.chuck.co.jp/

ビクターチャックホームページ

穴をあけた後はM4ネジ用タップを立てておく。逆ネジにしておくことが望ましいがコストがかかる上、面倒なので普通ネジでタップを立てた。

文章では僅かな説明で終るが、今月のほとんどを制輪子とフォークエンドで費やした。


制動梁には制輪子吊を取り付けるための丸棒を銀ロウ付けしなければならない。制動梁側は酸洗いだけで加工は不要。丸棒はしかるべき寸法に切断し、旋盤で穴あけし、タップを立てる。制動梁1本につき、左右で2個、合計6個製作する。

近所に非鉄材を切り売りしてくれる鋼材屋はあるが、鉄材を扱っている店がなく(普通は逆なのだが・・・)インターネットで購入しようと考えていた。しかし運良く某鉄鋼会社の廃材置き場に大量に6mm丸棒が捨てられていたので、材料として引き取り事なきを得た。向こうもホクホク、こちらもホクホクでしかもリサイクルである。

材料は固めで、穴あけには苦労したが、切り出し、穴あけが終った丸棒を制動梁に銀ロウ付けした。丸棒をのせるスリットはレーザー加工なので、丸棒さえ正確に切り出しておくことで、寸法は正確になる。

完成した制動梁 裏側

制輪子吊を台枠からぶら下げる制輪子吊軸?は12mm6角真鍮棒から旋盤で加工した。こちらも穴あけとタップ加工ばかりである。制輪子吊が取り付けられる軸はややゆるめに加工した。
制輪子吊軸?

旋盤加工もまだまだで、なかなか自分の思う寸法に加工することができない。とくに、横送り台の移動は、メモリ×2倍で外形が削られていくので、うっかりするとすぐに失敗する。もはや脳みそは掛け算すらまともにできないくらいまで悪くなっている。(-_-)

できたパーツを仮組してチェックした。

制輪子吊軸・制輪子吊・制輪子・制動梁

あとは制動引棒、制動軸の加工が残る。

さて、今回フォークエンド・ロッドエンドは散々探していろいろ検討した結果自分で作ることになったが、フォークが長いタイプのフォークエンドはどこを探しても皆無に等しい。ほとんどのメーカーはロッドのねじ径がフォークの隙間径と一致しており、さらにフォークの長さはねじ径×2となっている。メーカーからしてみれば、サイズをまとめておかなければ莫大な組み合わせのロッドエンドやフォークエンドができ、在庫管理ができないためだと思う。

唯一見つかった定形外のロッドエンドはOSカタログにあった。これはT-5の機関車側ブレーキにも使われていたが、価格が高いうえ、M3でとても貧弱である。M3ということは、フォークの隙間も3mm、ねじ径も3mmとなる。やはり機関車の停車用ブレーキで、客扱いの重量級ブレーキ用ではないということだ。

結局、自作しなければならなくなったが、レーザーカットでかかった費用から計算すると、今回製作のフォークエンド一個につき、価格は800円近くになった。これは加工の手間をまったく計算していないので、実際は1000円以上することになるだろう。フライス加工で行ったとしても面倒なことは変わりなく、厄介なパーツのひとつである。数もたいていの場合たくさん必要になる。

定型サイズだが、安くロッドエンドを扱っているメーカーを2社紹介しておく。いずれも工具商経由でなければ購入できないようである。どちらも最小サイズはM4からなので、M3はOSに注文する方が手っ取り早そうである。

 

株式会社三好キカイ

CKD株式会社

http://www.miyoshikikai.co.jp/

http://www.ckd.co.jp/japanese/index.htm

0727-93-2855

 
今後、ブレーキ引き棒関係のロッドエンドにはすべてM4を使用するので、三好キカイのロッドエンドを4個注文しておいた。三好キカイのHPはCADデータが掲載されており、設計の段階でとても重宝した。

だいぶ前のことになってしまったが、復活から1年を待たずに、T-5は再びばらばらになってしまった。ボイラーから蒸気もれが見つかり、ボイラーをおろしたためである。場所は煙室側大煙管取付部で、比較的修理しやすいところである。しかし、石炭のタールやすすがこびりついており、補修に取り掛かるまでの掃除が大変である。灯油で磨いたがまったく刃が立たず、落とせるところまで汚れを落とした段階で作業を終えている。

分解中!うしろは筆者。ヘアバンドが・・・

外されたボイラー

自分で空焚きをしたことはないが、機関車を貸していたこともあるのでなんともいえない。新品のボイラーは30万近くするため、補修する以外方法はない。自宅はすでに8620に場所を占領されており、とても補修できる場所はない。

大御所のライブスチーマーにボイラーを洗浄する方法を聞いたところ、整備工場で使用するスチーム洗浄が良いとアドバイスを受けた。洗車場の高圧洗浄機とは違い、本当のスチームで吹き付けるものである。静岡には仲の良い整備工場がないので、しばらく探さなくてはならない。もっと言えば、サンドブラストが手っ取り早いが、最近ではこんなものがおいてある板金屋が珍しくなってきている。愛知県に住んでいた頃はいくらでも近所にあったが・・・。

ボイラーは新聞紙にくるんでベランダに放置してある。復活の日はいつになるやらである。


このところ、セントラル鉄道からの配布が順調である。私は相変わらずテンダー工作をモゾモゾやっているが、先々月第五回動輪が届き、さらに第六回先台車まで届いた。機関車本体の配布回数はこれで3回分になる。動輪は、位相の問題を解決するためと思われるが、キーピンは穴だけ空いており、連結棒を取り付けて回転することを確認した後、キーを入れるようになっていた。万一位相が狂っていた場合にはキーが入れられなくなってしまう。

まだ箱の中身をしっかり確認していないが、動輪がくるといよいよという気持ちになる。動輪だけでなく先輪もきているので、組み立てた場合は転がして楽しむことができる。取り組みにはまだまだ時間がかかりそうだ。

私が住んでいるアパートの階下の住人が退去したので、思い切って一階に引越しをした。一階にすんでいた住人は私の知人だったため、今までは多少の音も我慢してもらっていたが、この後誰が入居するかは全く予想がつかないので引越しに踏み切ったのだ。2階から1階なので、引越し自体はそれほど大変ではなかった。旋盤も自分のものとなり分解もできるようになったため、引越しにあたってはモーター、チャック、刃物台、センター、ギヤを外して運んだ。それでもかなりの重さがあった。

一階になってとても気楽になった。床もしっかりとしており、旋盤の運転をしても、ポンチをガツンとやっても今までとは響きが違う。機関車の運搬もドアをあけて階段を4段降りればすぐに地上である。1階がこんなに快適だったとは・・・。さらに、一階は周辺の建物の影響だと思われるが、道路を走る車の音もあまり聞こえないため夜も快眠である。