2002年2月 第3回テンダー下回り-A・小物製作

下回りのパーツはほぼ揃っているが、旋盤の使用に慣れなければならないので、勉強をかねてテンダー上回り小物を制作した。
旋盤は純正の能力を使いこなすだけでもかなりの熟練を必要とする。能力以上の仕事をさせる場合には、工夫と経験、専用工具を必要とする。ボール盤もまともに使用できない私としては、かなり勉強が必要になる。
適当な真鍮の廃材を利用して試し削りを行い、旋盤を自分の使いやすいようにカスタマイズした。寿貿易に連絡し、不明な点や使用方法を教えていただき、なんとか最低限必要な切削はできるようになった。クラブの旋盤に比べて剛性があるため、ビビリの発生が少ない。
ねじ切りやその他の能力はまだこれからの勉強となる。必要に応じて学習しなければならない。

旋盤の能力を引き出すには、四つ爪チャックの使用は不可欠で、四つ爪チャックの使用には、工作物のセンターをきっちり探すための工具が必要になる。いわゆる「センターファインダー」で、今月はまずこれから取りくむことにした。
「生きた蒸気機関車をつくろう」「ミニ旋盤を使いこなす本」に制作方法が紹介されている。制作にあたっては「ミニ旋盤・・・」のほうがいくらか簡単そうだったため、こちらに基づいて制作した。材料は手持ちの素材を利用し、6×6真鍮角棒と1.5真鍮板を使用した。構造は簡単で、縦列に並べて6×12にした真鍮角棒を両側から板ではさみ、同時に球をはさみこむ。球には穴をあけておき直径2〜3ミリぐらいのロッドを貫通させる。球への穴あけは旋盤が最も得意とする加工である。「ミニ旋盤・・・」では両サイドの真鍮板をカシメて組み立てるように指示されているが、今回は皿ビスで組みたてて分解可能にした。写真は、ドリルロッドが近所で入手できなかったためとりあえずドリル刃を刺している写真である。

センターファインダー

真鍮球を使用
センターファインダーの制作に必要な鋼球が手に入らなかったので、真鍮球を使用した。東急ハンズで12.7ミリのものと9.52ミリの物が手に入る。価格は2個入りで100円。
先月加工したテンダー台枠控えにつづいて端梁も加工した。主台枠と基本的に同様だが、テンダー後端梁のアングル取り付け部にはミーリングで凹加工が施してあり、やや取付がしやすくなっている。逆に、取り付けアングルは加工が必要になっている。主台枠のアングルは最初からしかるべき寸法に加工されており、ボルト取り付け部にもセンタードリルによる位置がけがかれており、穴あけのみ行えばよかった。しかしテンダー台枠アングルは、一本の真鍮アングルを切り離して、台枠の穴をヤトイにして穴あけしなければならない。

アングル取り付け

控えと端梁

端梁と控えの加工が終わったら、テンダー台枠を仮組して、台枠床板部を取り付けるための穴あけ加工をする。テテンダー台枠控えが平鋼である理由は、剛性を稼ぐことと、床板取り付けネジが刺さるためである。一度仮組みして、床板をバイスで固定した後、床板にあらかじめあいている穴をヤトイにして控えにネジ穴を移しあける。床板にテンダー上回りがボルト止めされるので、床板の取り付けが歪むとテンダー全体が歪むことになるため、慎重に寸法を採りバイスで固定してから穴あけした。
バイスで固定して穴あけ 台枠控え
床板の穴をヤトイに穴あけを行ったが、後端梁側控えの穴が不自然な位置にあいてしまった。床板へあらかじめ開けられている穴位置が間違っていたためと思われる。取り付けボルトの位置を10mmほどずらして、まず床板に穴あけ加工し、再度台枠に取り付けてからもう一度控えに穴を移し開けた。右写真の右から二番目の控えに2個ずつ穴があいているのが確認できると思う。床板の穴の位置まで採寸する必要はないと考えていきなり加工したが、ここも手を抜かず一旦CADで図面を重ね、取り付け位置を確認するべきだった。(-_-)
横田氏から標識灯を頂いたので、それを参考にして自作した。旋盤の練習にこれ以上のものはない。テンダーのリア回りには不可欠なパーツ。

横田氏制作の5インチ標識灯

3面図

小さなパーツだが、旋盤を使いこなすために必要な基礎技術が凝縮されている。外形削り、突っ切り、中繰りである。横田氏の標識灯は分解ができるようになっており、レンズごとすっぽりと抜けるようになっている。寸法は以下の通り。

        

工作する上での最も難しい点は、円柱である本体@に、レンズパーツAを取り付けるための穴あけである。円柱に垂直に穴あけすることは大変難しい。旋盤の四つ爪で保持して穴あけする方法が一番確実だが、残念ながら私の持っている4つ爪は大型で、標識灯のような小さいものを保持することができなかった。仕方がないのでボール盤であけることにした。

手順は、最初にヤンキーバイスで本体@を2個同時にしっかり保持し、そのままハイトゲージで罫書き、ドリルで穴をあけ、加工を完全に終えるまで、バイスから外さないことにした。こうしておけばまずセンターがずれることはない。もっとも、ずれたところで精度が必要なところではないのでどうということはないが。

本体@とレンズ部A

組み立て中

本体@への穴あけはドリルではなくホールソーで行った。それでも穴径は12ミリではなく、0.15ミリほど大きく開いてしまう。ドリルは太くなればなるほど、噛み込みの危険が高いのであまり使いたくない。合計4個制作した内、2個は@とAの組み付けを圧入にして取り外しができないようにしてみた。

本体の加工が終われば後は飾りの取付である。手提げを1mm厚真鍮板から幅3mmに切り出してコの字型にまげた。標識灯を取り付けるためのステーは真鍮チャンネルから切り出してビスで仮止めした後、手提げと同時にはんだ付けした。プラスティックのレンズはパイロットランプのレンズを使っていると横田氏から聞いていたが、近所の電子パーツショップにはダイヤカットのものしかなかったので、もうしばらく探す必要がある。

一応完成


2月10日、大井川鉄道で夜汽車の運転が行われた。ミステリー列車扱いで、ダイヤは会員のみ知っている。私は地元の利を最大限活用して千頭駅の撮影会を駅の構外から遠巻きに見ることができた。写真は20:00分頃、43系客車入れ替えのために発車したC108号機である。ビデオ動画から取り込んだため画像が粗い。当日は気温が低く、コンプレッサーからの排気が空高く吹き上がっていたことがとても印象に残る。一旦汽笛が鳴ると、川根の山々に反響してしばらく残響音が残っていた。

大井川鉄道では、下りが正面、上りはバック運転が基本となっている。しかしこの日はなんと上りも正面向きであった。千頭駅の撮影会ではカメラマンからのリクエストに答えターンテーブルに乗ったり、客車を連結したり、1メートル単位でわざわざ機関車を前後させてベストアングルを作るという親切なことをしていた。ファンサービスとはいえ、ここまでしてくれる大井川鉄道は本当に素晴らしい鉄道会社だと思う。

C10発車! 動画41秒 3.41MB

夜の蒸気機関車は、私が考えていたより遥かに魅力的であった。機関車の姿は全くといってよいほど見えなかったが、音で存在を感じることができた。電気機関車では決してまねできないところである。一応動画を用意しておいたが、3.41MBとデータが重い。魅力を伝えようと思うとどうしてもデータが重たくなってしまう。なお、ここで聞かれる音声は一切エフェクト処理はしておらずビデオに付属のステレオマイクで収録した原音である。スピーカーの音を最大?(^^ゞにしておくことをお勧めする。