2001年7月    会計報告と反省

全く素の状態からライブスチームを始めようとすると一体どのくらいお金がかかるのか?参考として今回の復活にかかった費用明細を報告したいと思う。導入した工作機械、材料のストック、最低必要な工具に加えて反省も報告したい。8620の製作記は来月からということでご了承いただきたい。

1. OSに支払った部品代

部品番号 部品名 個数 単価  
BO-10 圧力計 1 3,300 3,300
BO-11 圧力計配管 1 1,320 1,320
BO-12 水面計上止めボルト 1 390 390
BO-13 水面計本体上 1 660 660
BO-14 水面計下止めボルト 1 390 390
BO-15 水面計本体下 1 1,100 1,100
BO-16 水面計ガラス 1 660 660
BO-17 水面計排水バルブ 1 2,000 2,000
BO-20 火格子 1 6,000 6,000
BO-28 アッシュパンレバー 1 880 880
BO-29 灰箱引き棒ピン 1 220 220
BO-3 蒸気分配弁台座 1 1,100 1,100
BO-33 灰箱引き棒 1 280 280
BO-4 蒸気分配箱継ぎ手 1 280 280
BO-5 ブロワー配管 1 930 930
BO-8 蒸気分配箱本体 1 3,000 3,000
BO-9 メクラ栓 5 250 1,250
CY-10 シリンダーカバーパッキン 2 600 1,200
CY-26 ドレンコック@ 2 1,600 3,200
CY-27 ドレンコックA 2
CY-28 ドレンコックB 2
CY-37 ドレンコック梃子@ 1 1,200 1,200
CY-38 ドレンコック梃子A 1 170 170
CY-39 ドレンコック梃子B 1 170 170
CY-40 ドレンコック梃子C 1 110 110
CY-9 シリンダカバーナット 2 ? ?
FR-16 軸箱ボルト 2 360 720
LU-2 オイルポンプステー 1 550 550
LU-3 エキセントリック梃子棒 1 550 550
LU-4 エキセントリック梃子 2 170 340
LU-5 オイルポンプユニオン 1 660 660
LU-6 オイルポンプ配管@ 1 1,750 1750
LU-7 オイルポンプスプリング 1 80 80
LU-8 オイルポンプ配管A 1 950 950
LU-9 オイルポンプ蓋 1 550 550
OU-21 運転室床板 1 5,500 5,500
OU-22 運転室床板スペーサー 2 170 340
OU-4 ボイラー覆い留め金 2 600 1,200
P-10A Oリング@ 2 90 180
P-8 OリングA 2 80 160
S-8 OリングB 2 80 160
VC-13 チェックバルブ継ぎ手 2 1,550 3,100
VC-14 メクラ栓 4 390 1,560
VC-16 排出弁 1 2,300 2,300
VC-17 汽笛弁 1 3,300 3,300
VC-18 蒸気分配弁 1 2,650 2,650
VC-19 蒸気分配弁ハンドル 1
VC-20 蒸気分配箱配管 1 1,430 1,430
VC-23 チェックバルブ戻し管 1 1,000 1,000
VG-28 モーションプレートナット 2 2,650 5,300
VG-52 逆転梃子棒 1 450 450
WP-17 エキセントリックピン 2 170 170
WP-18 軸動ポンプダストブーツ 2 570 1,140
WP-25 水ポンプ配管@ 1 1,300 1,300
WP-26 水ポンプ配管A 1 1,200 1,200
WP-32 水ポンプ配管B 2 1,650 3,300
WP-33 水ポンプ配管C 2 800 1,600
WP-34 水ポンプ配管D 2 550 1,100
WP-38 エキセントリックオイル栓 4 110 440
WP-6 圧力計配管ジョイント 1 420 420
WP-7 パイプジョイント@ 2 420 840
WP-8 パイプジョイントA 1 440 440
WP-9 パイプジョイントB 2 420 840
  ステンレス球 2 80 160
  焚き口戸スペーサー 2  ? ?
  その他 ? ? ?
合計 103   101,500
記録に残っている部品リストはこのくらいである。合計金額は縦計と一致していない。理由は上記部品リストには含まれていないが、価格にはその他・ボルト・ナット・割ピン・パッキン等が含まれている為である。空欄は明細が残っていなかったのでご了承いただきたい。
注文した部品で高価と感じたものは運転台床板、モーションプレートナットだ。モーションプレートナットは、ネジピッチが細かく、ベアリングも含まれているので納得できるが、運転台床板はちょっと高すぎるように思う。

 

2. 工具・材料その他
項目 名称 価格 その他

ネジ・ボルト

ネジ・ボルト類 2,970  
合計 2,970  
 

部品系

カプラー 19,600  2個分
継ぎ手 400  動輪舎
ハンドレールノブ 2,000  動輪舎
煙管掃除ブラシ 1,100  OS純正
ブロワーキット 8,500  OS純正
合計 31,600  
 

消耗品その他

アロンアルファ 300  
カセットガス 780  
銀ロウ 1,450  
銀ロウフラックス 720  
銅ロウ 720  
はんだ 450  
フラックス 380  
バスコーク 950  
サンポール 200  
合計 5,950  
 

刃物類

タップ 1,560  
リーマ 3,200  
鋸刃 1,900  
ドリル 2,580  
ホールソウ 4,010  
砥石 400  
Cクランプ 680  
クリップスタンド 980  
ソケットレンチ 480  
タップホルダー 940  
トーチ 1,980  
鋸本体 1,900  
ハンドドリル 980  
ピンバイス 880  
ヘキサゴンレンチ 700  
ポンチ 230  
合計 23,400  
 

材料

アクリル丸棒 780  
真鍮丸棒 1,260  
真鍮板小定尺 13,200  2枚
真鍮板 1,630  
バルサ 260  
網目板 3,800  
合計 20,930  
 

塗料その他

塗料 9,800  10缶
合計 9,800  
 

総合計

  94,650  

こちらの工具・材料・その他については、可能な限り領収書を残すよう努力したが、もれているものが多い。参考価格として判断していただきたい。

意外にも工具が少ないが、これは中古工作機械屋でタダでいただいたものが多い上、自動車用の工具がかなり使用できたのでこうなった。「工具に触れたことがない」という人がはじめるにはもう少し費用がかかると思われる。

 

3.    導入した工作機械
名称 メーカー 価格
ボール盤

株式会社吉田鉄工所

0
工作台(1500×700×740)

ユニオンスチール

44,000

連載で報告したが、ボール盤はニイザキモデルエンジニアリングから提供していただいたので、無料だった。中古工作機械屋でもボール盤は20000円前後で取引されているので、探してみると掘り出し物が見つかると思う。スコヤを持っていって、テーブルの傾き等は必ずチェックすること。

すべてを合計して30万以内で収まった。

 

4.    役に立った工具・本

ボール盤が絶対必要だったということは間違いがない。「穴を開ける」という作業が中心となるが、その他にもゲージとして使用したり、タップを立てたり、用途は広かった。丸棒などはボール盤に咥えてヤスリがけするだけでもかなり整形はできた。

私が「絶対必要」と感じた工具を紹介したい。       

1. ヤスリ(全種類)
2. 糸鋸(弓の大きいものと小さいもの)
3. バイス
4. Cクランプ
5. ノギス
6. ハイトゲージ

6.については意外と感じる人がいるかもしれないが、ハイトゲージは絶対必要である。私は当初使用していなかったが、タダで入手できたので使用してみた。罫書にかかる時間が10分の1になった上、精度が非常にあがった。私のように工作技術のない人間が、工作の基本となる罫書をいいかげんにしてしまうと誤差の積み重ねでとんでもない代物ができてしまう。
正確な工作は罫書から・・・と心底感じた。非常に高価なものだが、中古では1万以下で取引されている。私のオススメ。

当初ボール盤を導入するか、フライス盤を導入するか思案に暮れたが、今回の復活に関してはボール盤で全く問題がなかった。むしろ必要と感じたのは「旋盤」で、これがあれば、部品を購入しなくて良かったものがたくさんあった。結局クラブの旋盤を借りて解決したが、旋盤はぜひ導入したい工作機械である。順番として「ボール盤」→「旋盤」→「フライス盤」が理想だ。旋盤はバーチカルテーブルを使用すればミーリングもある程度できるので小物を製作するくらいなら十分と思う。

次に書籍についてだが、いろいろ購入した中で、今回一番手にすることが多かった書籍は「鉄道模型工作技法」だった。

鉄道模型工作技法 鉄道模型工作技法
機芸出版社
菅原道雄 著
価格1250円(当時)

この本は2000年4月の連載でも紹介したが、金属工作を全くやったことがない人にとっては、ライブスチームの専門書よりもこのような本が身近になる。私はボール盤による穴あけひとつとっても、なかなか中心に真っ直ぐ穴を開けることができなかった。そんなときにいつも回答を与えてくれた本だった。1984年に購入したが、当時は全く読まず新品同様の状態で実家から見つかった。本当に良い本だと思う。

最近再発されて、購入できるようになった。N,HO,からライブスチームまで使用できる素晴らしい内容である。オススメ。

5.    反省

ライブスチームの出会いから、入手、復活と報告してきたが、一番反省していることは、「完成を急いでしまった」ということである。「はやく自分の機関車が欲しい」という熱意により、かなりハイペースで工作を続けてきたが、健康上や、完成度に影響が出てしまった。長時間の工作は腰を痛め、バーナーによるやけども含めて、嫁さんから「アホ」呼ばわりされてしまった。全くそのとおりだと思う。犠牲にしてきたものがかなりある(飲み会とか・・・)ため、8620はきっちりあせらずやってみたいと思う。休日も家にこもりきりにならないようにしたいものだ。


セントラルの8620は、全国でもかなりの台数が走っており珍しさはない。非常に単純な考えだが、C50に改造してみてはどうかと考えた。誰でも思いつきそうなことだが、幸い隣町の焼津市にC5096が保存されているので、取材してきた。

8620の実車は、梅小路の8630と、日車の58623を見たことがある。C50との外観上最大の違いは、ランボードの高さである。8620と比べてランボードの位置が高く、動輪がすっきりと良く見える。他にも運転室下部が直角になっていたり、安全弁と汽笛が独立していたりと、細かいところはかなり異なっている。

機構上の最大の違いは台枠で、8620は板台枠、C50は棒台枠になっている。機関車の骨とも言える台枠が異なることで、モーションプレートやシリンダなどの構造も異なる。図面なども比較してかなり検討してみたが、大変な改造になりそうだ。モーションプレートや、安全弁台座はどう頑張ってみてもできそうにない。

まだ諦めたわけではないが、完全なC50にすることは不可能なので、蒸気機関車末期の近代化工事を受けた8620に仕上げてみたいと思う。大きなところでは標準デフ取り付け、パイプ煙突、空制化、である。せっかく化粧煙突が手に入るのにわざわざ削るのも、もったいないような気もする。個人的には化粧煙突はあまり好きではないので、全体的なバランスを見て、化粧煙突の方が良いと判断したら、そのまま取り付けようと思う。

というわけで、来月から8620の製作記をはじめます。部品が届く限り・・・・