2000年12月    「分解・形状決定」

パーツリストを作成しながら、各部品をばらした。台枠は、灰箱を中心とした後ろ半分にかなりの錆が見られる。台枠は鋼板による側面枠と、前部・後部の台枠梁および鋳造によるブロックで組み立てられている。この機関車は電動に改造されていたこともあり、鋳造ブロックの一部欠損と、ギヤを組むための刻みがみられる。厳密に言うと、ここは修正したほうが台枠の剛性を確保するためにも無難だが、金銭的な問題と、少々の刻み?は実用的に問題がないと判断し、そのまま再使用することにした。写真は分解前の台枠を上から見たところである。手前の×になっている補強が奥にはない。ここは本来手前と同様な形状をしていなければならない。

台枠控

分解した後、不足欠品パーツリストを作成しOSに注文を入れた。しかし「多忙で少々時間が欲しい」という返事だった。OSは新商品の準備に追われており、担当が少ないという状況はよく理解できるため、「できるだけはやくお願いします」ということで対応をお願いした。

部品が届くまで時間があるため、まず動輪から整備を行なうことにした。動輪をよく観察すると、第一動輪の磨耗が激しい。目視でもその薄さが分かる。第三動輪フランジをノギスで測定したところ、もっとも厚いところでおよそ4ミリ、しかし、第一動輪はおよそ2ミリだった。このままでは、ポイントへの噛み込みが懸念されるため、本来なら新品に交換するべきだが工作も進まなくなってしまう。しかたがないので第三動輪と第一動輪を入れ替えることにした。第一動輪はシリンダーブロックが重いこともあり、またT5については先輪がないため、ガイドとしての負担も大きい。次に第一動輪が磨耗したときは新たに購入しなければならない。

動輪の錆をペーパーで落とし、スポーク部分に墨入れを施した。私の好きな鋳鉄打ちっぱなしにしたいところだが、錆が深く進行していることもあり、やむを得ずブラックで塗装した。塗料はカー用品で販売されている「タッチアップペイント」を利用した。簡易な筆が付帯しているため、用具洗浄の手間が省ける。動輪すべてを塗り終えて丁度空になる量だった。ペーパーで磨いたあと片側3個表裏、左右で12枚も塗ることになり、同じ作業の繰り返しでやたら時間がかかった。

 

動輪

磨き、墨入れが終了した動輪


動輪を磨いたところで、このOS T5をどのような形状で復活させるかプランニングした。現在の機関車の形状は10月の写真で紹介たようにテンダー機で日本型に変更されている。T5は動輪が小さいため動輪から8.4分の1で無理やり逆算すると実機は全長約7メートル、動輪直径もB20よりちょっと大きい程度の機関車になる。福知山のイベントで初めて見ることができた技巧社のB20がとてもかっこよく見えたので、せめて外観だけでもB20に似せてみたいと考えた。8.4分の1で計算すると丁度このクラスの大きさになる。蒸気機関車全盛の時代は、企業が自社発注した入れ替え用蒸気機関車が多数生まれており、「産業用入替機関車」のイメージで外観をまとめてみようと思う。

オリジナルT-5

オリジナルのT5側面図(かなりアバウト・・・)

目標

このように形状を変更する(人間は8.4分の1)

側面図としては省略しすぎているが、大体のイメージはこのような感じだ。
スチームドームは譲り受けた段階でT5のドームが2個ついていたが、このドームの形状は明らかに日本型の機関車とは異なる。
どちらかというと日本型蒸気機関車のドームは円柱で、角の部分をまるく削った形がぴったりである。もったいないなあ、と思いながらドームはB20と同じかまぼこ形状のものを自作する。

もうひとつ、現在ついているキャブは、テンダー機用で、機関車全体のバランスから見て、やや大きいような気がする。
ここも、B20やB6のようなカギ型の入り口を持つキャブに変更する。

遊びとして、ライブスチームではまず見られない、「入替え用トラ目塗装」をフロント梁とリア梁に施す。
組み立てが終わり全体の印象がつかめたところで、「派手な手すり」を前後につける。
これにより、かつて地方で見られた「自社発注入替え用小型蒸気機関車」になるはず?だ


イメージができたところで、台枠を塗装することからはじめた。
台枠をすべて分解し脱脂をした後、錆の見られる灰箱を中心にペーパーで錆を落とす。オリジナルのT−5の台枠は塗装されておらず、メッキのような処理が施されている。
軸箱守はリベット止めされており、問題があればこれも外して整備するべきだが、特に偏磨耗は見られない為そのままでマスキングをして塗装する。
塗料はまたもや車用のウレタン塗料が沢山残っているためこれを利用した。
下塗りをするべきかどうか迷ったが、剥がれるところはいずれ剥がれてしまうため下塗りなしで、表面をペーパーで軽くヤスッたあと塗装した。サーフェイサーを使うと塗膜が厚くなる。
台枠内にはあとから軸動ポンプやら死重やらがつくこともあり、できるだけ塗膜は薄いほうが理想的となる。写真は磨きが終わり、軸箱にマスキングを終えた写真。

塗装 台枠完成

錆はかなり深く進行していた。ペーパーより、サンドブラスターを使用したほうが効果的だが、そのようなものはマンションにないので我慢する。
台枠前と後ろには「例のトラ目」を施した。塗装を終えて台枠を組み立てた。トラ目がやたらめだってしまう。