2000年9月    「製作場所の問題」

私は工業高校を出ているわけでも、工業大学を出ているわけではない。生まれも育ちも文系人間なのだ。本当に完成できるのかどうか不安にもなってきたが、部品の頒布まで残り2ヶ月となり、いよいよ準備しなければならなくなった。

ライブスチームは、5インチともなると、大きく重たい。セントラルの8620で全長1850ミリ、全幅280ミリ、全高410ミリで重量は空車で80キロにもなる。5インチでも屋外の庭園鉄道を走っているときは、小さく見えてしまうが、家に持ち帰ると、とんでもない大物だ。寸法をよく見ると、ちょうど成人男性がごろねをする大きさと想像できる。

これほどのものを製作するとなると、「製作場所をどうするか」という問題に突き当たる。「生きた蒸気機関車を作ろう」の平岡氏によれば「工作室が完備すると作品はできなくなる」と言うジンクスが紹介されている。同時に良い作品が生まれる条件は「一に情熱、二に技術、三四がなくて五に工作室」という条件も紹介されている。前述のとおり、私には少なくとも「2と5」はないため、1ですべてをまかなわなければならない。すなわち情熱である。今置かれている状況では以下の方法で工作室を確保することができる。

1.自分のマンションで製作する
  2.工作のできそうなところを借りる
3.実家の倉庫でつくる

1は理想的だが、一番難しい。私は賃貸マンションに住んでいることもあり、持ち込める機械が限られている。また、騒音の問題も大きい。2は最も簡単だが、先立つものがない。3.は実践しやすいが、実家までは80キロほど離れており、空き時間を使って工作するすることができない。また、家族にも迷惑を掛けることになる。すでに実家には「AE86レビン・トレノ」にあるとおり、レビンが放置してあるため、事情を話しても理解されそうにない。

中川氏も渡邊氏も自分の置かれた環境で十分すぎるものを製作している。私は得意の営業で、まず2の方法で、しかも無料で貸していただけるところを探すことにした。同時に最悪の場合も考え、実家の倉庫で製作することにも理解を得るため、前述の「ハチロクレビン」を売り払うことで「情熱」を理解してもらうことを考えた。(8月末、売り払いました・・・ハチロクを手放してハチロクを得る) (^^;

倉庫

部屋
こちらがその倉庫です。 現在の私の部屋です。左の機材を退かせば・・・

すると、場所が見つかってしまったのだ。ここは某取引先店舗の倉庫で2階にある。「お店が営業している時間中ならいいよ」と言う限定つきながらである。お店は夜9時まで、土日も営業しているので、平日早く帰ることができた場合は製作可能になる。場所を確認したところ問題がひとつある。階段が恐ろしく急なのだ。これは、機械工具を持ち込むことも大変な上、完成した機関車を下ろすことも大変だ。この時点で落下してしまうと「最悪」なことになる。とりあえず「ありがとうございます!」と元気良く返事をして、保留させていただく。
(左の写真が現場です)

1.の方法も可能かどうか検討してみる。どんな工作機械が必要か?と言うことで、これも可能になる。私は少なくとも「ボール盤かフライス盤」のどちらか一方を導入し、あとは手工具で対処しようと考えている。「バンドソー」が必要だと言う人も多いが、作ってみたところで考えてもいいと思う。

しかし、どんな工具が必要か?も製作してからでないと分からないので、当面、自宅マンションでチャレンジすることにしてみた。鉄筋コンクリートのマンションは遮音40dbから50dbは確保されていると言う。騒音も深夜を除けば何とかなる。6帖の洋間にある音楽機材をすべて排除することにより、製作するだけの面積を稼ぐことができる。そして、「どうにもだめだ」となったら、前述の倉庫を借りることで決定。

結果的に、今月は結論が出ず得意の「行き当たりばったり」方式となってしまった。私は、ふとある関東のライブスチーマーが私に教えてくれた言葉を思い出した。ライブスチーマーはその熱の入れ方により、3段階のステップを踏むと言う。

STEP1        車を買い換える(機関車を運ぶため)
STEP2        家を買い替える(家でも走らせるため)
STEP3        嫁さんを(買い)替える(その他もろもろ・・・)
ちなみにSTEP3まで進行した人がいると言う。トホホ・・・

キットを作るにあたり「フライス盤」か「ボール盤」か、どちらがより有利か?もちろん両方用意できればこしたことはない。フライス盤はボール盤としての機能も充実している。私の場合は、「とりあえず自宅」で製作することになるため、どちらか一方にして作業場を節約しなければならない。

私の個人的なイメージでは、フライス盤を使うメリットとして、

@

なんといっても加工に幅ができる
A とりあえずボール盤が不要になるためスペース上有利
B 良いものを購入することで将来の拡張性が高くなる

逆にデメリットとして

@ 良いものは大型で価格が高い
A 宝の持ち腐れになる可能性がある。
ボール盤のメリットは@価格が圧倒的に安い、A使い方が簡単、というところである。デメリットは@拡張性が低い(穴あけにしか使えない)A将来フライスが必要になった場合スペースをどうするか?ということがある。
@ 価格が圧倒的に安い
A 使い方が簡単
ボール盤のデメリットは
@ 拡張性が低い(穴あけにしか使えない)
A 将来フライスが必要となった場合スペースをどうするか

ということがある。

丁度、庭園鉄道にライブメーカーの大御所が集まる機会があったため、この質問をぶつけてみたところ、結論として「ボール盤」ということになった。やはり誰に聞いてもメリットデメリットはあるもので意見は割れたが、「フライスを持っていても、ボール盤は持っていたほうがいい」と言う答えは全員一致していた。

ある大御所から「キットなら問題ない、将来は考えず、あるものを完成させることが大切」と言うアドバイスを受けた。将来は「完全自作」と行きたいが、「生活環境」もあるので「あるものを完成させる」は説得力がある。

ボール盤を購入するために受けた注意点は「テーブルが円形で回転するものを」と言うことであった。バイスを併用することで、拡張性が多少広くなり、キット完成まではこぎつけることができるということだ。

工作機械は結論として「ボール盤」で決定!金銭的にもこれで楽になる。