ろく工房コッペル
ネットオークションにでていたろく工房コッペルを落札した。

ろく工房のコッペルは3.5吋の大変小さな機関車である。私は過去2回、完成した実機を見たことがある。一度目は2000年、もう一度目はその数年後だったが正確な年は覚えていない。

当時から機関車の精巧なつくりと手ごろなサイズにとても魅力を感じていた。ネットオークションには写真3枚しか掲載されていなかったが、「図面がある」と書いてあったのでそれでは何とかなるだろうと判断したのである。

写真に写っていたボイラーには安全弁や加減弁が組み込まれていたので、ボイラーも問題ないだろうと判断できた。付属品がセットされていて火を入れていないということは、漏れていないという事になる。もれている未完成ボイラーに付帯設備を組み込む人などいないからである。

そんなわけで落札したのである。

経験上、作りかけのライブスチームは大抵、解決できない問題に直面して放置されたものがほとんどである。形ができているからすぐに完成するということはなく、間違い探しとパーツの加工精度チェックに大半が費やされる。

また仕掛け品のひとつになることは明白だが、それでもネタを出し続けることに意味があると考えている(笑)


届いた品物を検品したが、かなりパーツはそろっていた。主要なパーツは完璧であり、ドレンコックやルブリゲーター、圧力計なども含まれている。

逆に、含まれて入ないパーツは逆支弁、水面計アッセン、ポンプ関連、笛関連、逆転機関連、ケーシング・運転台・砂箱・ダミー配管等の飾り部品である。

図面はほぼそろっていたが、状態はあまりよくなかった。20年は経っていると予想できた。A3の図面をセロテープでつないでA2としているがテープは茶色く変色しており、図面に糊がしみこんでいた。図面はすべて硬く直径3センチほどに巻いてあり、これを伸ばそうとするとびりびり破れる。

図面を一枚一枚分離してクリアファイルへ入れ、じゅうたんの下へしばらく入れておくことにした。とくにバルブギア関連の図面は痛んでいるので裏打ちの紙を張り合わせて準備した。

作りかけのライブスチームを図面なしで完成させることは自作するよりもはるかに難しい。これはセントラル8620の製作記を見ていただければご理解いただけるだろう。
手法はリバースエンジニアリングになり、難易度は高くなる。「図面がある」ということは部品完備しているよりもはるかに完成する確立は高くなる。

現物のボイラーのブシュサイズを確認するとOSの汎用パーツと互換性があるので、逆支弁・笛弁・ハンドポンプ等をOSへ注文しておいた。

図面が見やすい状態になれば工作を開始する。


りあえず撮影用に組合わせた図

写真はホコリと錆(悪夢だった!)をひととおり落として撮影したものである。ボイラーもドームもバルブギアも固定していない。分解して工作精度を確認することからはじめなければならない。

それにしても3.5吋の機関車は小さくてよい。1番ゲージの機関車も自宅では迫力満点だが、実際に石炭をたいて走る機関車が両手で簡単に持ち上げられると言うことは素晴らしいことである。

3.5インチのレイアウトは近年ほとんどないので走らせる場所は非常に限られるが、逆に言えば3.5吋であれば自宅にレイアウトを持つことはそれほど難しいことではない。写真に写っているノギスは30センチのものである。

運転してもよし、飾ってもよしである。・・・それに年をとっても手元において置けるではないか!