はじめに・・・
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第1回は長文になってしまった。読むのも難儀だと思うが、きちんと伝えておかなければ、コッペルプロジェクトを掲載する意味自体がなくなってしまう。このサイトは技術的な工作記ではなく、思考的なものを大切にしたいと考えている。
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私の一号機関車となったT-5改は、結局ボイラーの蒸気漏れを補修するために分解したまま人の手に渡り、すでに私の手もとにはない。私は現在走らせられるライブはもっていない。走らせるものがないと自然と運転会にも参加しなくなってしまう。結局やれることは工作しかなくなる。 ライブをはじめた頃は考えてもいなかったことだが、旋盤を導入してから自分でできる加工が多くなった。また外注先の開拓が順調にできたため、いろいろな可能性が拡がってきた。 そこで自作の機関車に走ることになった。 木型を作ったときに感じたことだが、自分で木型を設計製作すると、加工の手順まで考えて鋳物を作れるという利点がある。たとえば、車輪鋳物であれば、予め車輪のボス部分に簡単なセンターマークを作っておけば四ッ爪チャックのセンター出しが簡単である。 これと同じ考え方になるが、「自作設計制作機関車」は自分の工作レベル、所有している工作機械、工作環境、外注先、この4点に合わせて設計することで、その人にとって非常に作りやすく簡単な機関車になる。 結局ベストなゲージ、ベストな機関車、ベストな工作法はその人の置かれた環境によって異なってくるのだ。 最初に取り組んだT-5は、簡単な気持ちから「蒸機時代末期の産業ロコにしよう」と改造を試みた。しかしこれは今考えてみてもかなり難しかった。なぜなら、OSの機関車は完全完璧に設計されていて、どこか一つを変更しようとすると他でしわ寄せを受けるからだ。 たとえば、「T-5の動輪を大型のものに変更しよう」と考える。しかしいざやろうと思うと、外火室との干渉、制輪子吊軸との干渉、シリンダーとの干渉が問題になり、せいぜい20mm程しか拡大できない。結局台枠ごと作り直したほうが楽という結果になる。 8620にもおなじことが言える。 しかし、先ほどの4点を考慮して自分で設計を行うと設計変更もまた簡単である。あらかじめ変更を見越して設計できるからである。針の穴からサッカーゴールぐらいの大きさに領域が広がるわけである。 今回連載するコッペルは「ライブスチームの工作室」のY氏が設計したものである。Y氏は旋盤もフライス盤も購入せずに自作機関車が作れないものかという発想から本機関車を設計した。幸い?私はフライス盤を持っていないので、少なくともミーリングなしで制作することになる。また必要に応じて連載中で旋盤を使わずに加工するにはどうしたらよいかも説明していきたいと思う。 Y氏の設計は私の憧れの機関車制作に大きなヒントを与えてくれている。氏の意向が少しでも伝われば幸いである。 ライブスチームは高価で、限られた人のものではないということを少しでも証明できるように取り組みたい。私自身の設計能力取得の為にも・・・。 最後に、このサイトは不定期更新であることをご了承いただきたい。また、私の生活環境の急激な変化等により、途中で連載が終ってしまう可能性があることも加えてご了承いただきたい。 |
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